自分自身と向き合う唯一の時間。
PROFILE

ビーアット代表取締役社長 / ビームス執行役員 コミュニケーションディレクター
1977年生まれ、島根県出身。「ビームス」入社後、梅田店のショップスタッフとして働き、23歳でメンズのPR担当に就任。2020年に執行役員に就任し、翌年、同社初の合弁会社「ビーアット」を設立。トレーニングやゴルフ、ランニングとアクティブな趣味は多岐に渡る。
Instagram:@hiroshi_doiji


ー トレーニングを始めたきっかけを教えてください。
ぼく、20代の頃はかなり細身だったんですけど、30代になってから急に太りやすくなってきたんです。お酒やストレスで体重が20kg近く増えてしまい、80kgっていう大台に迫った瞬間、このままじゃマズいなと。そこから体づくりに気を使うようになり、筋トレを始めました。
それで、後輩に「鍛えているなら是非」って紹介されたのがこのジム。一度試しに行ってみたらオーナーと話が合って、定期的に通うようになりました。相性が良かったみたいですね。24時間営業のジムで黙々とやる日もあるのですが、喋りながらトレーニングするのも好きなんですよ。基礎を教えてもらうって意味でも、初心者の方こそパーソナルから入ることをオススメしたいです。


ー 初心者にとって、パーソナルジムに通うメリットはどんな点にあるのでしょうか?
正しい知識が得られることですよね。筋トレも結構、頭を使うんですよ。例えば、グッと力を振り絞って重いウエイトを挙げる時、「目を瞑らないでください」ってトレーナーによく注意されるんです。結構な人がやってしまいがちなんですけど、動作中に目を閉じてしまうと平衡感覚が悪くなってしまうんです。
そういうことって自分では気づけないし、理由が分かると、どんどん身体の仕組みに興味が湧いてくるんですよね。姿勢や呼吸が変わったことで睡眠の質も上がりましたし、体幹を鍛えることでゴルフのスコアも伸びました。まさに良いこと尽くしです。
ー 仕事柄、トレーニングとファッションの関係について何か思うことってありますか?
コロナ禍によって、ワンマイルウェアと言われる、ちょっとした活動範囲の服装が支持されるようになりましたよね。快適で機能性に優れた、スポーツウェアに近しいものが一般化したことで、より自由にスタイルを選びやすくなっていると思います。


だからこそぼくが提案したいのは、わざわざ新しい何かを買うのではなく、自分のワードローブにあるデイリーウェアでトレーニングすること。普段着の延長、みたいな考え方です。競技種目とは違って、筋トレするのに服装のルールなんてないじゃないですか。ジムでも自分らしいファッションを楽しむことで、自然とモチベーションも上がると思っています。
ー 日々のトレーニングの継続にどういった効果を感じていますか?
なんでこんなに続いているかって、チューニングなんです。

ー チューニング、ですか?
きっと昨今のサウナブームとも似ていて、トレーニングは頭と体がスッキリするだけじゃなく、”自分と向き合う時間”になっています。現代人には、そういう時間が減っていると思うんです。気が付いたら寝る直前までスマホをいじってるような生活になってませんか。
デジタルデトックスして、自分自身と向き合い、心と体を整える。ぼくにとってのトレーニングは、そんな時間なんです。


ー 鍛え始めて、何か変化は感じましたか?
筋トレをして何が変わったか。いちばんは前向きになれたことです。ストイックに言えば、何事も全て自分の責任だし、結局はやるかやらないか、それだけ。カジュアルな言い方をすれば、体を鍛えることで、とにかくポジティブになります。
仕事でもなんでも自分にとってのテーマは、「努力は夢中に勝てない」。いついつまでにやらなきゃって思うより、夢中になっていると自ずとパフォーマンスが上がるんですよ。ワクワクするし楽しいし。
心が整い、体が変化して、思考も前向きになる。トレーニングをするデメリットなんて何にもないんですね。歳を取って、いつかトレーニングができなくなることを想像すると寂しいですが、それでも常にその時にできるベストを尽くしていきたいと思っています。
そんな土井地さんの愛用品は?

〈ゴールドウイン〉のカーフスリーブ 「キツすぎず緩すぎずの心地良いフィット感でふくらはぎを着圧し、運動効率を上げてくれます。トレーニング中はもちろん、筋トレやゴルフ後のリカバリーにも欠かせません」
自信は習慣と経験からしか生まれない。
PROFILE

俳優 / スケートボーダー / WORKING CLASS FOOD主宰
1989年生まれ。和歌山県出身。大学進学を機に上京し、スカウトがきっかけで数多くのファッション誌に出演。現在は役者として活動する傍ら、友人と立ち上げたケータリングサービス「WORKING CLASS FOOD」でイベントの企画やサポートを行う。公園のスケートパークで滑ってから自宅で自重トレーニングをするのがルーティン。
Instagram:@keifukagawa


ー なぜ、トレーニングを始めたんですか?
最初は役づくりのためにジムで鍛え始めました。アメリカに憧れる青年の役でしたね。撮影が終わってからもしばらく通ってたんですが、性格的に飽きちゃって。「これを何回やって~、明日はここを鍛えて~」ってやり方が向いてなかったんですよ。
それでも続けられたのは、両手だけで体を浮かせるプランシェや逆立ちでバランスをとるハンドスタンド、片手懸垂とか、アクロバティックなストリートワークアウトの技を習得するために練習するって考え方に変わってからでした。ちょうどその頃から始めたスケートボードの感覚に似ていて。トリックを決めるまでひたすら挑戦するって行為が楽しかったんでしょうね。
公園でスケートをしてから遊具でストリートワークアウトの練習をして、自宅で自重トレーニング。それが10年以上前から今日に至るまで、毎日のルーティーンとしてずっと続いています。

ー そういった日々のトレーニングによって、どんな変化を感じましたか?
ぼくは顔立ちも含めて女性っぽい部分があったのですが、それが良い意味で男らしくなってきたんじゃないかなって思っています。
あと、筋肉がつくにつれて、自分に自信が持てるようになったんですよね。自信は、その人の習慣と経験からしか生まれない。他人に左右されることではなくて、自分自身と向き合うなかで見えてくるもの。トレーニングを通じて、挑戦することや続けることの大切さを感じるようになりました。


ー 身体を鍛えることの良さって何だと思いますか?
自分を守ってくれることだと思います。例えばお酒の場でも、「ここで飲みすぎたら今夜トレーニングできないな」ってセルフコントロールできるようになったり。
同じように、仕事でも何でも、自分で舵を切れるようになったのは大きいですね。以前の消極的な自分のままだったら、与えられた役をただこなすだけの役者になっていたと思います。スケートもストリートワークアウトも、技ができるかどうかは自分の頑張り次第で決まるもの。いまはそういう考え方で行動するようになりました。


コロナ禍で休業になった飲食店の友だちと「WORKING CLASS FOOD」というケータリングチームをつくって、ストリートカルチャーを盛り上げるイベントを企画しているのですが、それも自分から起こしたアクションのひとつです。
ー どうしても運動が続かない人や拒否反応が出る人には、どう魅力を伝えますか?
あんまり偉そうなことは言いたくないんですが… 物事って捉え方次第で、必ず良い面と悪い面があると思うんです。だからこそ、ぼくはできるだけ良い面を見ながら生きていきたいんですよ。
皆いつか死んでしまうし、ヒトはどうしても歳とともに老けていくじゃないですか。鏡の前に立ってふと顔を見ると、「シワが増えたな~」って思いつつ、でも体はしっかり若々しいから、そこで安心すると言うか、「ちゃんと積み重ねているな、自分」って思える。この感覚は、すごく良いものですよ。
ー 最後に、今後挑戦したいことがあれば聞かせてください。
若い世代の子って、TikTokとかYoutubeで気軽に自分を発信してますよね。ぼくはまだそこに踏み込めてないなと思って。
だから、そういうライトな見せ方でトレーニングやストリートワークアウトを紹介したいと考えています。スケートは誰もがやれることではないけど、筋トレなら誰でもできるし、やるべきだと思うので、その魅力をたくさんの人に伝えていきたいんです。
そんな深川さんの愛用品は?

〈チャレンジャー〉のTシャツとバンダナ 「〈チャレンジャー〉はぼくにとって大切なブランドです。スケートボードもワークアウトも、背中を押してくれるような、大好きなブランドのアイテムを身につけることでモチベーションが上がるんです」
同じ服を着ていても際立つ存在であれ。
PROFILE

ウィズム バイヤー / コンセプター
1978年生まれ、相模原出身。古着屋とセレクトショップでの販売を経て、バイヤーを務めたのちにPR職へ。2012年に「ウィズム」の立ち上げに参画し、現在は同ショップのコンセプターとして活躍。目指すは「オーガ」こと範馬勇次郎に匹敵する背中。
Instagram:@ryu_horike

ー トレーニングを始めたきっかけを教えてください。
お店のPR業務を担当していた頃、営業を兼ねて毎日飲みに行くような生活を続けていたら、みるみるうちに太っちゃいまして。このままじゃダサいなと思ったんです。
皆が同じ〈ヘインズ〉や〈リーバイス〉を着ていても、「あいつだけ違うよね、やっぱかっこいいよね」って人がいるじゃないですか。ファッションに携わるぼくたちこそ、そうした憧れの存在を担っていかないといけない。本来はそういう仕事のはずなんですよね。そんな思いから、夜な夜な公園でトレーニングをするようになりました。

ー 公園でトレーニングしようと思ったのはなぜですか?
仕事が終わるのも遅いし、ジムに行くのもな〜… と思っていたら、この公園で懸垂ができる高い鉄棒を見つけて。家から近いし、まずはここで鍛えてみようと思ったんです。
最初は懸垂も3回で限界だったので、少し走って懸垂3回、走ってまた懸垂3回… と繰り返していくうちに、だんだんボリュームを増やせるようになってきたんですよ。結局一年くらいで、ランニング8kmと懸垂20回×5セットっていう、いまのルーティーンがこなせるようになりました。この回数に理由はなくて、100回ってカッコよくないですか? 3桁に男のロマンを感じるというか(笑)

ー 最初はダイエット目的ということでしたが、続けるうちに感じた変化はありましたか?
このトレーニングを始めてから、常に週3回以上は続けているんですが、一ヶ月で体重が7kg以上落ちました。最初はお腹の贅肉がなくなり、その後に体の外側に筋肉がついてきて、どんどんシャープに絞れていきましたね。
あと、ランニング中は、面白い企画が生まれる時間にもなりました。うちのお店って、回転寿司を回したりとか、とにかく変なことやるんですよ。面白いアイデアが思いつかない時は、デスクで考え込まないで体を動かすことで、急に名案が降って来ることもよくあります。
ー 体が変わってからも何年も継続できるのは、どんなモチベーションからなのでしょうか?
もう完全に生活の一部ですね。武藤敬司が「筋トレするのは、歯磨きするのと一緒だ」って言ってるんですけど、本当にそれぐらい自分のなかに組み込まれています。


トレーニングに対して最初から辛いって気持ちはなくて、鍛え始めた頃も、太っている自分を許せない気持ちの方が大きかったんですよ。ぼくの場合、人に良いって思ってもらって服を買ってもらうのが仕事なので。生まれ持ったもの、例えば顔立ちとか、足の長さとかは変えられなくても、”自分で努力して何かできることは、絶対やった方がいいよね”って考えが根本にあります。ぼくらはパッと見で、勝負しないといけないですから。


ー トレーニングスタイルに対するこだわりを教えてください。ウェアもシューズもスポーツ用ではないですよね?
ユルめのコットンTにトラックパンツという普段着そのままでトレーニングしています。これを着たらパフォーマンスが上がるっていうよりも、パフォーマンスは自分で上げるものでしょって考えなので(笑)。シューズもみんながスニーカーとして履いている〈ニューバランス〉の「993」。トレーニングを始めた頃から使っているものです。このボロさがに愛着があって、履くと「今日もやるぞ!」って思えるんですよね。

ー トレーニングを続けて良かったと思ったエピソードはありますか?
買い付けでよく海外に行くんですけど、実はぼく、ほとんど英語が喋れないんですよ。「Yes!」「No!」「Cool!」だけでなんとか乗り切るみたいな(笑)。でも、会話の最後に必ず握手をするんで、ぼくの掌のマメに気がついて、「おまえ鍛えてるのか!」と盛り上がって仲良くなれるんです。
そう意気投合して日本に入れたブランドもたくさんありますからね(笑)。だからこそ、服屋はもっと体を鍛えた方が良い。と、ぼくは常々言っています。
そんな堀家さんの愛用品は?

ワイヤレスイヤホン 「某ブランドのブート版です。トレーニング中はこれで『水曜どうでしょう』や『人志松本のすべらない話』をラジオ感覚で聞いてます。ちなみに、Bluetoothの名称は”IQ 20”でめっちゃ馬鹿なんですよ(笑)」