25周年記念用アイテムのなかでも特に山田さんお気に入りのスペシャルヴィンテージ 15選。

山田さんですら初見のアイテムから古着の歴史が書き変わる新発見のデニムまで、お宝と呼ぶにふさわしいものばかり集められた今回のアニバーサリーイヤー。取材時にチラリと見せてもらったものだけで古着の博物館ができるほどの品揃えでしたが、最後にそのなかから特に思い入れ深いアイテムを山田さんに選んでもらいました。
SPECIAL 01
1942y LEVI’S 501XX CINCH BUCKLE

これぞ新発見と言えるのが、第二次大戦中に作られたベルトループ&シンチバック付きの〈リーバイス®〉。本来ならこの仕様は36年までのはずですが、なぜか13.5オンスの生地に鉄リベットなど随所に大戦モデルのディテールを採用しつつ、アーキュエイトはペンキではなくステッチで仕上げられています。「42年のフラッシャーとともに出てきたので、サンプルではなく販売されたはず。この年だけシンチバック付きが復活したのか、イレギュラー品というよりもデニム史が書き変わる謎めいたアイテムです」
SPECIAL 02
‘50s LEVI’S 501XX DEAD STOCK

53年に登場した両面タブ&54年まで採用されていた革パッチという、ごくわずかな期間のみ生産された仕様を備えている501XX。しかもこちらはデッドストックでフラッシャーなどの付属品も完備! 「コレクターが保管していたものを譲ってもらいました。しかもウエスト34のレングス32というゴールデンサイズです」
SPECIAL 03
Late ‘60s LEVI‘S 505E

ビッグE表記から60年代後半製と分かる505だが、トップボタンやベルトルーブが付いていないイレギュラー品。しかも撮影している最中にベルトループがポケットに入っていることが発覚。「なぜか製造途中のまま現代まで残っていたのでしょう。この状態まで仕上げてから、ポケットにループを入れて次のラインに渡していたのかも。当時の製造工程に思いを馳せられる貴重な資料ですし、完璧にコレクターズアイテムですね」
SPECIAL 04
‘20s LEVI’S TWILL PANTS

ブラックツイルを使用した〈リーバイス®︎〉のワークパンツは、山田さんも初見の1本。No.2デニムと同じく鉄のトップボタンを使用しており、廉価なラインとして販売されたものか? 「最初は後染めかなと思ってチェックしましたが、スレーキが真っ白であることから染められていないことが分かります。非常に珍しい1本です」
SPECIAL 05
‘50s LEVI’S 507XX “T-BACK”


生地幅が狭い旧式力織機で織ったデニムで大きなサイズを仕立てるために、背中で生地を切り替えた通称・Tバック。46インチ以上からこの仕様になるが、その特異なディテールとビッグシルエットの流行から一気に出世したアイテムだ。しかもこちらはいまのところ世界で4着しか確認されていない2ndのTバック仕様。「こちらは5着目の発見で、サイズは52インチ。しかも濃紺のグッドコンディションです」
SPECIAL 06
‘50s LEVI’S 507XX DEAD STOCK

先ほどと同じく507XXだが、こちらはサイズ44でTバックではない。が、特筆すべきはそのコンディション。なんとデッドストックで発見された1着だ。「両胸ポケットで身幅がやや広めの2ndは、実は大きめで着るよりもジャストで着たほうが映えます。コレクションアイテムとして保存してもいいですし、ずっと愛用して自分の色落ちに仕上げていくのも楽しみな1着ではないでしょうか」
SPECIAL 07
’30s HEAD LIGHT BROWN DUCK CHORE JACKET

「サイズも絶妙だし、これはできれば売らずに自分で着たかった……」と山田さんが悔しそうに語るのが、こちらのブラウンダックのカバーオール。チェンジボタンにチンストラップ付きと30年代のディテールで、状態もまずまず。「ごく稀に小さめのサイズでコンディションの良いものが見つかることがありますが、それでも自分で着たいと思えるものはほとんどありません」
SPECIAL 08
‘40s CHAMPION AFTER HOODIE

クルーネックのスエットシャツに後からフードを付けた、後付けパーカと呼ばれるアイテム。こちらはコットンのドローコードがつく40年代製の〈チャンピオン〉で、肉厚のスエットを2枚重ねで縫い合わせたダブルフェイス仕様。「NAAAはNAVAL ACADEMY ATHLETIC ASSOCIATIONの略で、いわゆる海軍士官学校のもの。染み込みプリントの雰囲気も良好です」
SPECIAL 09
‘50s CHAMPION REVERSE WEAVE AFTER HOODIE


レギュラーや90年代のスエットでもたまに見かける“C.W. POST”表記のアイテムですが、C.W.POSTとはロングアイランド大学のアスレチックチームで、朝食用シリアルメーカーの創業者の名前に因んでいるそう。「こちらは初期のタタキタグが付くことから50年代の〈チャンピオン〉製と分かるリバースウィーブの後付けパーカ。後年のグリーン × イエローの2色刷りではなく緑単色の染み込みプリントな点もクラシックな雰囲気です。しかもサイズXL。最強です」
SPECIAL 10
‘50s CHAMPION REVERSE WEAVE AFTER HOODIE


「なんと言っても色の褪せ方が素晴らしい。当時と現代では染料の質が違うこともありますが、カリフォルニアの気候でないとこの雰囲気にはなりません」と山田さんが語るのがこちら。同じく50年代製〈チャンピオン〉のリバースウィーブで、バックプリントはフロッキー仕様。ネイビー×オレンジの配色も絶妙です。
SPECIAL 11
‘30s CHAMPION DOUBLE FACE HOODIE


スエットのなかでも評価の高いネイビーもの、しかもこちらはロックフードにセパレートポケットでダブルフェイスという30年代製。サイズ50のビッグシルエット、故にトップアウターとして着るのに最適です。「リブも2重になるよう袋状に仕立てていたり、フード部分でロックミシンを掛けていたりと、後年のものとは作りがまったく異なります」
SPECIAL 12
‘30s BIG YANK FLYER CHAMBRAY WORK SHIRT

「お客さんから頼まれて、20年探し続けてやっと見つけた」という30年代の〈ビッグヤンク〉は、FLYERタグが付く通称“ヤンクフライヤー”。シャンブレーシャツの名品中の名品です。脇に施された緑ステッチのベンチレーションホールやガチャポケ、メタルボタンに生地を二枚重ねにして補強されているアームホールとバックヨークなど、ヴィンテージならではのディテールを数多く備えています。
SPECIAL_13
‘50s TOWN CRAFT CORDUROY SHIRT “ELVIS DOT”

フィフティーズの雰囲気満点のコーデュロイシャツは50年代の〈タウンクラフト〉製で、横使いした生地やビタッと合った柄合わせなど、仕立ての技術も確か。「プレスリーが着用したことから通称・エルヴィスドットと呼ばれる柄で、幻の1着として名高いアイテムです。こちらもデッドストックと呼んで差し支えないコンディションです」
SPECIAL 14
‘50s LEVI’S SHORT HORN WESTERN SHIRT

高騰を続ける〈リーバイス®︎〉のデニムウエスタンシャツのなかでも、こちらはセンターショートホーンタグの50年代製で、胸ポケットのフラップの形状がノコギリの歯に似ていることからソーツースシャツとも呼ばれているモデル。「カウボーイ用のワークウェアなので、これだけ状態が良いものはそもそも見つからない。特にこれはパールボタンやシルバーのリベットボタンではなくカッパーボタンのため、さらに希少です」
SPECIAL 15
‘60s LEVI’S SADDLE MAN WESTERN SHIRT

こちらのサドルマンが総柄でプリントされたコットンウエスタンシャツは、山田さんをもってしても初見の1着。〈リーバイス〉が純粋なワークウェアからファッションピースへと変わりつつある60年代の雰囲気がよく表れている。「〈リーバイス®〉に売るから嫌だ、とディーラーから販売を断られ続けていたのですが、25周年用に無理を言って譲ってもらいました」