乗っていてなんの不自由も感じない自転車。
ー〈ブロンプトン〉の1番の特徴は折り畳んだり、広げたりできるところにあると思うんですが、少ない工程でそれができているのが印象的でした。すごく簡単そうだったというか。
金子: 慣れれば15秒で余裕で畳めますよ(笑)。広げるのはもっと簡単ですね。これ、すごく考えられた構造になっていて、人間が両手でできる動作の中でシンプルに畳んだり広げたりできるんです。ちょっと服を畳むような感覚に近いですね。慣れるとリズム良くぱぱっとできちゃうというか。
ーだからこそ支持されているんでしょうね。
金子: そう思います。畳まれた状態の四角いフォルムもいいですよね。ロンドンに行くと、やっぱりその土地に合わせてつくられた自転車なんだということを実感しますね。道路もそうだけど、建物の中とかもすごくコンパクトなので、邪魔しないサイズ感っていうのが圧倒的に理に適っていて。
ー実際に乗り心地はどうなんですか?
金子: ぼくが乗っているのは、「P-Line」と呼ばれるチタンを使用したやや軽量のモデルです。ギアは内層3段、外層2段の計6段で、細かくシフトできるようにしています。ただ、ギアが増えるぶん多少重くなっていて、タイヤも丈夫なものを使用しているので、重量はノーマルよりも気持ち重たくなっていますね。とはいえ10キロくらいなので、片手で簡単に持ち上げられる重さです。
ー6速のギアにしたのは、細かくシフトしたいからなんですか?
金子: そうですね。都内、とくに渋谷周辺は坂道が多いじゃないですか。できればペダルを漕いで坂を登り切りたいタイプなので、ギアは結構細かく変えていますね。ちょっとしたアップダウンでもすぐに変えます(笑)。
ーそれだけちゃんと乗りたいということですよね。
金子: そうですね。競技とかにも出ていたので、その乗り方が身体に染み付いているんです。あとはそういう乗り方をしていると、疲れにくい。クルマとかもそうですが、ずっと一定で走っていたほうがいいじゃないですか。平地も登り道も同じ回転で漕いでいたほうがラクなので、そのために小まめにシフトチェンジしてますね。
ースピードもしっかり出てましたよね。
金子: そうですね。小径車だからスピードが出ないっていうイメージがあるみたいですけど、それは間違った認識なんです。ギアがしっかりとしているから、機動力があってグイグイ進みます。それにタイヤが小さいぶん、取り回しもしやすくて、小回りもすごく効きますよ。
ー細かな道にも向いていると。
金子: 乗っててなんの不自由もないですね。ただ、タイヤが小さいからハンドルを取られやすい。だから自ずと運転も丁寧になります。ぼくの場合、それくらいがちょうどいいんですけどね(笑)。
ー話を聞けば聞くほど金子さんっぽい自転車だなって思います。
金子: ぼくはクラシックな服が好きで、乗っていて自分のスタイリングに合うなって感じるんですよ。自転車に対してモノとしての魅力を感じるのも大事なんですけど、自分に合うかどうかってめちゃくちゃ重要じゃないですか。
金子: いまの自転車ってハイスペックなものが増えていて、乗っていてラクだし便利ではあるけれど、スタイルに合わないことって結構多いと思うんです。だけど〈ブロンプトン〉にそれを感じることはない。さっきも話したように、すでに完成された構造になっているから、余計な足し算をせずにクラシックな姿をずっとキープしているんですよね。
もちろんクオリティ面でのマイナーチェンジはあるんだけど、テイストはしっかりと守られている。そこに魅力を感じるんです。