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イギリス生まれ、ロンドン育ちの自転車。ブロンプトンが街乗りに支持される理由。
Life with Brompton

イギリス生まれ、ロンドン育ちの自転車。ブロンプトンが街乗りに支持される理由。

コンパクトに折り畳めて持ち運びが便利。そしてペダルを漕いだらスイスイ進めて機動力も抜群。〈ブロンプトン(Brompton)〉の自転車って、かなり優秀なんです。それにイギリス生まれ、ロンドン育ちだから、フォルムがどこかクラシック。ゆえに「どんなファッションにもマッチするんですよ」と、フイナムでもおなじみの金子恵治さんが語ります。愛用してすでに3年が経過し、いまの生活に欠かせない道具になっているのだとか。その熱量は半端じゃなく、海を越えて工場視察まで行ってしまうほど。それならば、とことん愛情を語ってもらいましょう。金子さん、〈ブロンプトン〉の魅力を教えてください!

  • Photo_Masayuki Nakaya、Keiji Kaneko(London)
  • Text_Tsuji
  • Edit_Yosuke Ishii

クオリティや数字の面で、みんなが同じゴールを見ている。

ー今年の9月にはロンドンへ行き、〈ブロンプトン〉の工場を訪ねたり、ユーザーのスナップを撮られたということで、そのお話を聞かせてください。そもそもどんなことがきっかけで行くことになったんですか?

金子: ぼくが〈ブロンプトン〉を愛用しているのはもちろんなんですが、日本で〈ブロンプトン〉の関係者と自転車の競技で知り合うことになり、その縁で今回ロンドンへ行くことになりました。

ー工場はロンドンにあるんですか?

金子: ロンドン郊外になるのかな? グリーンフォードっていうところで、ロンドンの中心部からクルマで30分くらいの場所ですね。街自体はすごくのどかな雰囲気で、その中に割と新しい建物があり、そこに〈ブロンプトン〉の工場があります。

ーやっぱりすごく広いですね。

金子: 天井が高くて、広々とした空間になっていました。ここで300人くらいのひとたちが働いているそうです。年齢も性別もバラバラで、とにかくいろんなひとたちがいましたね。

金子: 音楽とか聴きながら働いているひともいたし、自由に仕事をしている風景が印象的でした。工場を案内してくれた工場長的なひとも、スタッフと気さくにコミュニケーションを取っていて。上司と部下ではあるんだけど、とにかくいい環境、いいムードをつくろうという意識が働いているように感じました。スタッフのことを大事にしているというか、彼らにとっていい環境をつくることが、結果的にいい製品を生み出すことにつながるという考え方を体現していましたね。

金子: 彼女は溶接担当のスタッフで、この工場の中でも高い技術を持っているそうです。〈ブロンプトン〉の自転車って、溶接がすごく重要な製造工程なんだそうです。だから、新しく入ったスタッフは溶接技術を習得するための研修なんかもあるそうで、工場内にはそのための研修室みたいな区画もありました。

ーそこで技術を学んで、同時に会社のアイデンティティみたいなものも継承されていくわけですね。

金子: そうですね。研修期間は何年もあったりして、結構長いんですよ。

金子: そしてこちらが彼女の溶接です。すごくきれいですよね。

ー溶接がすごく大事ということは、〈ブロンプトン〉の自転車は、それだけ溶接する箇所も多いということですよね。

金子: そうですね。いまの時代はカーボンも多用されていますが、カーボンは型に流し込む形でフレームをつくります。一方で〈ブロンプトン〉は、折り畳みという性質上、どうしても丈夫なクロモリ(クロームモリブデン鋼)を使用しなければならないし、そのぶん溶接の箇所も増えてくるんです。

金子: フレームの溶接箇所がすくないほうが部品も少なく済むし、壊れる箇所も少ないということですよね。基本的にはそちらのほうがいいんでしょうけど、〈ブロンプトン〉の場合は溶接の精度を徹底的に上げることによって、その懸念を払拭している。だからこそ、多くのひとに支持されているんだと思います。折り畳めて便利な自転車でも、壊れやすかったらファンを獲得できていないはずですから。

ー先ほど仰られていた通り、技術を守って、それをきちんと伝承しているからこそのクオリティがあると。

金子: 工場の中をいろいろ拝見させてもらいましたが、溶接の区画だけ緊張感が漂っていて。やっぱり簡単に真似できるものじゃないんですよね。

金子: こちらは工場で働くひとたちの自転車置き場ですね。中には試作品もあるみたいで、テスト走行しながらいろんなことを試しているそうです。

ーこの工場では1日にどれくらいの台数を生産しているんですか?

金子: 1日に300台ほど生産しているそうです。

ー結構多いですね。

金子: 世界中に輸出している自転車だから、やっぱりそれくらいの量になるんです。それだけ多くのひとに愛されているということですよね。

ー一通り工場を回られて、印象に残っていることはありますか?

金子: 安定的に高品質なものづくりをする。そのための環境や設備がしっかり整っているなと思いました。それって当たり前のことなのかもしれないけど、そうした当たり前のことをきちんとやるところにプライドを感じたというか。

ー簡単なようで実は難しいことですよね。

金子: そうですね。あとはほとんどのパーツ類がここでつくられているのもすごいと思いました。自転車って細かなパーツをアウトソーシングして組み立てているイメージが勝手にあったんですけど、〈ブロンプトン〉の場合は外部に頼らず、ほとんどのパーツを自社でつくって自社で組み立てていて。それに驚きました。

ーそうすることによって安定したクオリティを担保しやすくなりますよね。

金子: それに加えてコスト面も抑えられます。だから環境も整備しやすくなるし、安全なものを世に送り出せる。自転車をつくる上で品質と安全性っていうのはいちばん大事な部分じゃないですか。

金子: あともうひとつ印象に残ったことを加えるなら、スタッフ一人ひとりの意識がものすごく高いところです。それは各々が担当する工程ではもちろんなんですが、コストなどの数字面、どうやったら利益が生まれるかなど、そうしたこともしっかりと個々に共有されているんです。

ーそれを理解しながら仕事をすることによって、自分達が働いていることの意味みたいなものが可視化されますよね。

金子: 俺はこれをするだけでいい、ということではなくて、クオリティや数字の面で、みんなが同じゴールを見ながら仕事をしている雰囲気があって。それがすごくいいなぁと思いましたね。そうしたムードを現場で感じ取ると、〈ブロンプトン〉を買ってよかったなぁっていう気持ちが自然と湧いてきました。毎回、工場を見学するとモノへの愛情が深まるんですが、それが今回もやっぱりありました。もともと大事にはしていたけど、もっと大事に乗りたいって思いましたね。

INFORMATION

ブロンプトン ジャパン

support@brompton.co.uk
https://jp.brompton.com