スナップボタン留めのスタンドカラーで仕上げた、リラックスフィットのプルオーバー。いかにも〈ザ・ロウ(The Row)〉らしいシンプルなフリースです。そう思って手に取ったら頭が混乱しました。とろけるようにしなやかで、適度なハリがある。袖を通せば体の芯まで温まるようでした。
組成表示を見て驚きました。カシミア73%、ウール15%、シルク12%の混紡素材だったのです。「シアリングに着想を得て、長年にわたる研究により完成させた」と胸を張るのももっともなテクスチャーです。
フリースの常識を覆すような肌触り。
フリースといえばナイロンの歴史とともにある素材であり、戦後のカジュアルウェアを象徴する存在です。これをラグジュアリーな素材に置き換えるというギャップはたまらないものがあります。
Menswear Fall 2026の模範回答とでもいうべき色味もいい味を出しています。ベースカラーはその名のとおり、苔を思わせるモスグリーン。前立てと袖口、裾をブラウンのコットンで切り替えており、ほどよいアクセントになっています。
要所を光沢感のある素材でパイピング。
今シーズンのテーマのひとつが夏の終わりから秋へと移り変わる時分の色合い。落とし込んだのは、グレーからグリーンのカラーパレットです。
Photo_Hiroyuki Takashima
Text_Kei Takegawa

