SPT USA YARN DYE PBD MIL ¥19,000+TAX
「〈ブルックス ブラザーズ〉はトラディショナルな印象が強くあり、ぼくとしては、もう少し年齢を重ねてから着ていきたいなと思うブランドでした。例えばネイビーのスーツは憧れのアイテムですけど、フォーマルな場に行く機会も少ないですし、普段からスーツを着る人間でも無いので、なかなか手が出せずにいます。この先何かの節目のようなときに、きちんと着たいなと思うブランドですね」
インテリアスタイリストとして、雑誌媒体や広告をはじめ、ウィンドウディスプレイなど多岐に渡って空間をプロデュースする遠藤慎也さん。インテリアそのもの自体やブランドが持つ背景をきちんと理解しながらも、それを単なる情報とせず、自らの経験を基にスタイリングを手掛ける彼にとって、〈ブルックス ブラザーズ〉はただの定番ブランドというだけではなく、ひとつの憧れの対象であり、そのブランドの歴史やスタンスにも敬意を抱いているようです。
グレンチェックのボタンダウンシャツにストレートチップのレザーシューズがしっくりとはまる。
「キャンプやアウトドアが趣味なのと、仕事柄、インテリアや什器の搬入などで身体を動かすことが多いので、オン・オフ問わずそういったテイストの服を好んで着ています。今日着ている〈ブルックス ブラザーズ〉のボタンダウンシャツもラフに着られるので、いつものぼくの格好にも取り入れやすくて良いですね。オックスフォードの生地もしっかりしていますし安心感があります。一方でグレンチェック柄がもたらすトラディショナルな雰囲気や、〈ブルックス ブラザーズ〉というブランドのイメージも大事にしたい。カジュアルになり過ぎず、レザーシューズを合わせて全体のバランスを意識したのがコーディネイトのポイントでしょうか」
グリーンのグレンチェックという、珍しい配色の生地。
「インテリアのスタイリングをする上で、『定番っぽいスタイリングをしてください』というオーダーを受けることが結構あります。その時は歴史がある、誰もが聞いたことのあるようなメーカーのクラシカルなものをベースにスタイリングを構築するようにしています。ぼくが考える定番とは、そうしたベースになりうるものです。ただ、個人的にはそのまま定番だけを並べるのは面白くないので、自分の好きなエッセンスや、自分らしい個性を付加するように心掛けています。定番の中に、新しいものやヴィンテージを取り入れてミックスされた空間をつくる。そう思うと定番とは、違ったテイストのものを許容する懐の深さも兼ね備えているともいえますね」
シャツの袖をまくり、クルマの荷台からリースしてきた荷物をおろす遠藤さん。
200年以上に渡り、自分たちが築き上げたアメリカントラディショナルというレガシーを更新し続ける〈ブルックス ブラザーズ〉。時代ごとの空気を取り入れながらも、ブランドのアイデンティティーを損なうことなく進化する。〈ブルックス ブラザーズ〉らしさを保ち続けているからこそ、単なる定番という枠だけに留まらない存在としていまも多くのファンに支持されているのではないでしょうか。
「〈ブルックス ブラザーズ〉のボタンダウンシャツしかり、服にしろインテリアにしろ定番品と言われるアイテムって、多くの人に愛用されてきたからこそ定番になりえたのだと思います。定番品には、それ相応の理由が必ずあるということです。だから何かものを選ぶ時、先ずは定番のものに一度触れてみるといいかもしれませんね。その上で、自分自身に合うかどうかを判断するのが大事な気がします」
PROFILE
1984年生まれ、埼玉県出身。大学卒業後に入学した専門学校在学中にインテリアスタイリストの窪川勝哉氏に師事。アシスタントとして6年間働いたのちに独立。現在はテレビや雑誌といった各種媒体から、展示会の装飾やショップの空間演出など、インテリアスタイリストとして幅広いシーンで活躍。また、釣りやキャンプといったアウトドア愛好家としても知られる。
Photo_Shin Hamada
Text_Maruro Yamashita
Edit_Yosuke Ishii