「モデルの仕事をしていたのは、大学3年のときから1年くらいですかね。それから役者の道に進みたくなって、いまの事務所に移籍したんです。モデルとして仕事をしていたことで、色々なブランドの服だったり、自分が普段着てこなかったような服というものをしっかり知れた気がします。若い頃はお金も無かったので、いわゆるブランドものの服に対してあまり興味が無かったから、ちょうど良いタイミングでモデルの仕事を始めることが出来ましたね。ファッションに関しては、私服通学の学校に通っていたので中学校くらいから自然と興味を持つようになってました。周りの環境もあって、自分の中に自然と馴染んでいますね」
俳優としてデビューしてから数年のうちに多くの作品に出演し、注目の若手俳優としてのポジションを確立した上杉柊平さん。元々モデルとしても活動していた上に、彼自身の持つカルチャー的なバックボーンの豊かさもあり、ファッションシーンからの注目も日々高まっています。
「〈ブルックス ブラザーズ〉の服は、シャツをはじめ何着か持っていました。トラディショナルなブランドでつくりもしっかりしていますし、シルエットも綺麗なんですけど、フォーマルな場じゃなくても全然着れるんですよね。普遍的なデザインだからカジュアルに着れるし、いつものライフスタイルにすぐに落とし込める。どんな人でも着こなせる服なんじゃないかなと思います。たとえば今日のぼくみたいにオーバーサイズで着たりとか、ちょっとストリートっぽい人でも全然着れますよね。何にでも合うんじゃないですかね」
「元々流行りのファッションには興味なくて、古着で昔の服を探したりしていました。フォーマルな服をあえてオーバーサイズに着るとか、ちょっと着崩すのが好きですね。たとえば昔のちょっと肩が張ってるようなスーツを、ジャストに着るんじゃなくて、ルーズに着てみたり。今日着ている〈ブルックス ブラザーズ〉の服も、サイズにゆとりのあるものを見せて貰って、そこから選びました。紳士的なイメージのブランドのものを、本来のカチッとした感じで着るのではなく、ちょっと崩して緩めに着たいなという旨をお店の方にも伝えたら、『着方は自由にして貰って良いんですよ』って言ってくださったので、いつも通りの自分のスタイルで着させて貰いました」
トレンドを追うのではなく、自分のスタイルを大切にする上杉さん。上杉さんが現在のようなスタンスを手に入れたのには、俳優であると同時にラッパーとしても活動していることが大きな要因かもしれません。上杉さんはこの連載にも以前に出演したKIKUMARUさんと同じく、KANDYTOWNの一員であり、HOLLY Qという名前でラッパーとしてもキャリアを積んで来ました。
「俳優もラッパーもあまり区別していません。どっちの姿も“自分”なんです。でも、ラップをやっている時の方がより自分らしい気がします。歌詞を書くのも自分だし、一緒にやってる仲間も家族みたいなものなので。一方で、俳優として役を演じているのも“自分”。同じ台詞でも、他の人が読めば全然違うものになる訳だし。役だとしても、ぼくが演じているからそこには“自分”がいるんだと思うんですよね。どちらにしても、ベースは上杉柊平がやっているっていうことになるから、人間としての軸を大事にしながら活動できればなと思います。日本て、これじゃなきゃいけないっていうような意識が強いじゃないですか。けれど、演技も音楽も両方本気でやっている人が、もっと増えていったら良いですよね。どっちも本気、そういうスタンスがもっと根付いたら、もっと面白くなると思うんですよね。俳優一本というのも、もちろん素晴らしいけど、他のことに取り組んでいるからこそ人間的に深くなれるということもある気がします。上杉柊平としての自分と、HOLLY Qとしての自分、その両方を知ってもらいたいですね。
PROFILE
1992年生まれ、東京都出身。大学生時代にモデルとしてのキャリアをスタートし、その後俳優へ転身。2015年に出演したドラマ『ホテルコンシェルジュ』を皮切りに、ドラマや映画に多数出演。現在、読売テレビ・日本テレビ系のドラマ『チート〜詐欺師の皆さん、ご注意ください〜』に出演中。俳優での精力的な活動のほか、ラッパーであるHOLLY Qとしての顔も持ち、地元の仲間たちで構成されたヒップホップ・クルーKANDY TOWNに所属。10月23日には待望の2ndアルバム『ADVISORY』を発売する。また、これに伴い、東京、大阪でのZEPPツアー『ADVISTORY TOUR’19』も決定。11月3日(日)にZepp Diver City、11月22日(金)にZepp Osaka Baysideでライブを行う。
Photo_Shin Hamada
Text_Maruro Yamashita
Edit_Yosuke Ishii