【The Shirt Style By Brooks Brothers】ブルックス ブラザーズとシャツとわたし。Vol.9 ソリマチアキラ イラストレーター

Supima Cotton Oxford Polo Button Down Dress Shirt Regent Fit ¥19,000＋TAX（ブルックス ブラザーズ ジャパン）

「子供の頃から絵が好きで、学校の授業でも絵だけは得意分野でした。でも、絵の道に進もうなんて思ったことはなくて。どちらかというとファッションが好きだったので、将来はそういう仕事かな？ と思ったりしていましたね。ファッションを意識し出したのは、中学2、3年の頃。当時の流行は、プレッピーブームの第一次だったんです。ボタンダウンシャツ、コットンパンツ、それにローファーやデッキシューズとかを、その頃に初めて目にして。友達のお兄さんから『TAKE IVY』を見せてもらって、衝撃を受けたのを覚えています。

イラストレーターとして国内外問わず、雑誌から広告案件まで幅広く活躍するソリマチアキラさん。近年ではアパレルブランドとのコラボレーションなども行っている氏の作風は、カルチャーとしてのファッションというものの魅力をしっかりと感じさせるスタイリッシュさと、タイムレスなレトロテイストが魅力。その作品の数々は、ファッションにも造詣が深く、〈ブルックス ブラザーズ〉のセットアップをセルフスタイリングで美しく着こなすことの出来るソリマチさんだからこそ描けるものなのではないでしょうか。

Jacket ¥69,000＋TAX、Pants ¥26,000＋TAX、TIE ¥12,000＋TAX（ブルックス ブラザーズ ジャパン）

「アメリカで脈々とつくり上げられたトラディショナルなスタイルというのは、自分の中で一本の幹になっていますね。年を重ねるにつれて、そこから枝分かれして自分になっていくという感覚でしょうか。10代のはじめから20代の間は、どっぷりアメリカンスタイルにハマってました。当時はいまよりもファッションと音楽がリンクしていたと思うんですよね。特に音楽だと、アメリカの50年代、60年代のリズム＆ブルースとか、モダンジャズが大好きで良く聴いていました。当時のそういう人たちのファッションって、アメリカントラッドがベースなんですけど、アーティストなりの着こなし方がスタイルになっていて、勉強になりましたね。」

きっちりとカフスボタンを留めた袖口。ちらりとの覗くアンティーク時計とのコントラストが美しい。

アメリカントラディショナルというスタイルに夢中になっていたソリマチさんにとって、〈ブルックス ブラザーズ〉というブランドは単なるブランドではなく、もっと大きな存在だと言います。

「最初に知ったのは、当時雑誌に載っていた広告だと思うんですよね。アメトラの総本山という印象だったので、〈ブルックス ブラザーズ〉は簡単には手を出せないという感じがありました。その後、古着で出回るようにもなって、ボタンダウンシャツをはじめとしたアイテムを買うようになっていきました。〈ブルックス ブラザーズ〉のイメージとしては、たとえばNo.1サックスーツを筆頭に、アメリカン・トラディショナルを創造し、ひとつのジャンルをつくったブランドという印象を持っています。普通の服のブランドとは違う、もっと大きな何かだと思いますね。スタイルの創始者ですから。」

雑誌の挿絵に使うイラストの仕上げをするソリマチさん。姿勢正しく、馴れた筆さばきで色付けを行う。

「やっぱりアメリカンスタイルって、ボタンダウンシャツの袖が擦り切れるまで着ても格好良いじゃないですか。着込んでも風格が出るというか。ウッディ・アレンもそういう擦り切れたシャツを着ていて、すごい格好良かったんですよね。〈ブルックス ブラザーズ〉はボタンダウンシャツひとつとっても、そういう風に着込むことのできるブランドだと思いますね。〈ブルックス ブラザーズ〉だからこそ様になるというか、寧ろ長年使うことで喜びが増す。そういうものじゃないですかね。流行に左右されず、何十年、何百年とほぼ形を変えずに残っていけるものですし、だからこそ定番として残るんだと思います」

Photo_Shin Hamada
Text_Maruro Yamashita
Edit_Yosuke Ishii