色褪せたベージュとカーキをまとったフラワー、フラマン画家の宮廷趣味を思わせる濃厚なフラワー、あるいはボタニカルやミリタリーなムードが漂うカモフラワー。〈ドリス ヴァン ノッテン(DRIES VAN NOTEN)〉はこれら百花繚乱なモチーフをシースルー生地やビスコース、サマージャカードといった繊細なファブリックに落とし込んだ。
見逃せないのは、これらモチーフをパターン・オン・パターンやマスキュリンなフォーマルウェアで仕上げる攻めたスタイリング。“原型の可変性” を謳い、フォーマル、マリン、ミリタリー、ウエスタンといった男性服を従来の価値観にとらわれることなく再構築したコレクションからは、心の底からファッションを楽しんでいる様子が伺えた。
花と柄に並々ならぬこだわりを持ち、長じてアントワープシックスのひとりに数えられたドリスの面目躍如たるコレクションである。この春はこれらコレクションを身にまとい、浮き立つ心をあらわしたい。
Photo_Hiroyuki Takashima
Text_Kei Takegawa