連載「憧れの逸品」No.141 デムナがつくるヴェトモン最後のロゴはロシア機動隊。

ファッションが退屈だったから〈VETEMENTS（ヴェトモン）〉を立ち上げた。そうして5年。十分に自分の役割を果たしたと思う──デムナ・ヴァザリアの退任が発表された昨秋、蜂の巣をつついたような騒ぎになった業界を尻目に当の本人は静かに語った。

デムナが手腕を振るう最後のコレクションになるであろう20SSの舞台はシャンゼリゼ大通りのマクドナルドだった。「DHL」をはじめとしたナショナルブランドの企業ロゴを採り入れて、ロゴブームを巻き起こした〈ヴェトモン〉が有終の美を飾るのに、これ以上ない舞台。この日のためにとっておいたのではないかと勘ぐりたくなるほどだった。

過去5年へのオマージュを感じさせたコレクションのなかでも一際目を引いたのがこちら。ブラックに染め抜かれた、オーバーサイズのTシャツ、シャツ、フーディー。胸元に縫い付けたのは、ロシア機動隊のユニフォームをモチーフにしたというロゴバッジ。キャピタリズムやグローバリゼーションをテーマに据えた今シーズンを象徴するアイテムだ。

〈ヴェトモン〉らしいオーバーサイズのシルエットでつくられたスウェットパーカはフードの部分にブランド名が刺繍されている。しっかりとした肉厚の生地を使用。
HOODIE ¥95,000+TAX

ショルダーラインの細いパイピングにもブランド名を入れるこだわりようだ。
SHIRT ¥125,000+TAX

背中につけられた巨大なロゴのワッペンが目を引く一枚。
T-SHIRT ¥53,000+TAX