〈ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)〉のメンズ アーティスティック ・ディレクター、ヴァージル ・アブローはストリートカルチャーの申し子であり、物心ついたときにはスニーカーの虜になっていた。ヴァージル少年のヒーローは、マイケル・ジョーダンだった。
ヴィンテージのバスケットボールシューズにインスパイアされた「LVトレイナー・ライン スニーカー」。デビューシーズンにリリースし、拍手喝采を浴びたこのモデルをアップデートしたのがブラックの一足だ。見どころは「モノグラム」をエンボス加工(!)したアッパー。「LVトレイナー・ライン スニーカー」は伊ヴィネツィアのフィエッソ・ダルティコに2001年に構えたアトリエで製作されており、サヴォアフェール(匠の技)なものづくりには定評があったが、その実力をまざまざとみせつけられた思いだ。柔軟性に優れたテクニカルライニングとアンクルパッドで履き心地は至福の域。
ホワイトカラーの「アベス・ライン ダービー」もまた、これぞヴァージルといった一足だ。厚く、彫りの深いトレッドパターンを特徴とするマイクロラバーアウトソールを履かせたチャンキーなプロポーション。これをきめの細かなグレーズドカーフレザー、そしてLVイニシャルやモノグラム・フラワーで仕上げた当モデルは、まさにラグジュアリー・ストリートな一足。破綻のないトリプル・ステッチには思わずため息が漏れた。