ジュエリーブランドの〈フレッド(FRED)〉はフレッド・サミュエルが1936年にパリ・ロワイヤル通り6番地に一号店をオープンしたのが始まり。紳士淑女の社交場だったレストラン「マキシム」の向かいにオープンしたその店の噂は目の肥えた人々の間で瞬く間に広まった。顧客リストにはグレース・ケリーやジャン・コクトー、パブロ・ピカソが名を連ねた。
サミュエルは1908年にアルゼンチンで生まれた。プレシャスストーンの取引をしていた一家に育ったサミュエルは、長じてパールの虜に。苦心の末に完成させた、ピンクがかった淡いクリームカラーのパールは、好事家の間で “フレッドカラー”と呼ばれるようになった。ジュエラーとしての才を開花させたサミュエルは曲線美を駆使したタイムレス、かつ型にはまらないデザインワークで人々を魅了し、そうして “モダン・ジュエラー・クリエイター” を名乗るに至った。
フランスの名門老舗を代表するコレクションのひとつが、1966年に誕生した「フォース10」だ。セーリングのヨーロッパチャンピオンだった長男が愛妻のためにつくったブレスレットにルーツを持つ「フォース10」は、ヨットのシャックル(結合金具)とケーブルをモチーフにしている。
ジュエラーの地力をみせつけるK18イエローゴールドもたまらないが、見逃せないのが「フォース10」の歴史で初めてとなるステンレススチールを採用したモデルだ。まさにシャックルを思わせるミニマルでソリッドな佇まいは、Tシャツにデニムというラフな装いさえもシックに仕立ててしまう。そのバックルのリリースに合わせてケーブルにも新作が登場している。フランスなどの国旗をイメージしたエンブレムケーブルがそれだ。
バックルに “♯gobeyond” の文字を刻印した当モデルは、売り上げの10%が「スペシャルオリンピックス」に寄付される。「スペシャルオリンピックス」は知的障害のあるアスリートをサポートする国際的なスポーツ組織だ。
Photo_Hiroyuki Takashima
Text_Kei Takegawa