2021 SPRING / SUMMERの根底に流れるのは、60年代と70年代のサーフカルチャーからインスピレーションを受けたという、ピースフルでインテリジェントなアウトドアのムード。
サーフカルチャーを着想源としているだけあって、今シーズンの〈ジル サンダー+(JIL SANDER+)〉はビーチまわりのウェアやグッズが充実していた。これはこれで目を奪われたけれど、思わず手に取ったのは2本のパンツだった。
裾のたるみも美しい、リラックス感溢れるシルエット。それだけで物欲が刺激される見事なパターンメイキングだが、素通りできなかった本当のところは別にある。いずれもルーシー&ルーク・メイヤーの遊び心が潜んでいて、ぐっときたのだ。チノのバックスタイルには波と海をモチーフにしたパッチをあしらい、カーゴパンツの膝には大胆なプリーツを入れた。
その遊び心はソリッドなデザインだから生きるものであり、そしてその遊び心は往年のサーフカルチャーを見事に体現している。