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奥山由之の最新作、flowersは見た人の胸に大きな何かを残していく、そんな作品です。傑作。

繊細かつ大胆不敵な表現活動を続ける、作家・奥山由之。2021年5月に発表された最新作、『flowers』では花を媒介とした、亡き祖母との対話が形になりました。

奥山が長年撮りつづけていたというこのシリーズは、祖母が暮らしていた家で撮影されました。

様々な思いが交差し、通り過ぎていっただろうこの場所は現在、奥山のアトリエとなっています。本作のモチーフはタイトル通り、花ではありますが、それだけではないサムシングが写し取られています。

本項で紹介する一部の写真を見ただけでも、おぼろげながら何かを感じたのではないでしょうか。極めて個人的な立脚点から生み出された作品であるにも関わらず、これらの写真が不特定多数の人の胸を打つのはなぜなのでしょう。

この風景、この光、この調子を僕は、私は知っていると思わせてしまう力はなんなのか。多くの人の心のなかに宿っているだろう、ある種の原風景とも言えるような世界が本作のなかには広がっています。

本作に登場する花は、フラワークリエイター「エデンワークス(edenworks)」の篠崎恵美さんにより提供された、棄てられてしまうはずだったものです。

これらは、80年代に奥山の祖父が使用していたという110フィルム(ワンテンフィルム)という小さなフィルムを用いて撮影されました。

そのなかに織り込まれるキッチンや書斎、寝室など空間を撮った写真には、大判カメラのコンタクトシートや中判カメラ、35ミリ、ポラロイドなど様々なカメラが用いられています。

一冊のなかに融け合う、いくつもの時間軸のグラデーションをきっと感じることができるでしょう。ぜひ一冊を通して見てみてください。

また、この度書籍刊行を記念し、奥山由之と東京都写真美術館の学芸員・伊藤貴弘さんによるオンライントークイベントが、7月31日(土)20:00から銀座蔦屋書店より配信されます。こちらもふるってご参加ください。

INFORMATION

奥山由之 写真集『flowers』刊行記念オンライントークイベント

奥山由之×伊藤貴弘(東京都写真美術館学芸員)〜写真集「flowers」をめぐる対話〜
日時:7月31日(土)20:00〜22:00
登壇者:奥山由之、伊藤貴弘(東京都写真美術館)
申込URL

参加方法:オンライン視聴
料金:1:イベント参加券 1,500円(税込)
   2:書籍付きイベント参加券 5,500円(書籍代+イベント参加費 送料込み/税込)
※書籍のご配送は、イベント当日までに発送いたします。

奥山由之 写真集『flowers』
ブックデザイン:葛西薫 安達祐貴
発行:赤々舎
サイズ:H261mm × W216mm
ページ:152 ページ 布装上製本
定価:¥5,500

奥山 由之
1991年東京生まれ
東京都在住

受賞
2016年 第 47 回講談社出版文化賞写真賞受賞
2011年 第 34 回写真新世紀優秀賞受賞

主な個展
2019年 「白い光」キヤノンギャラリーS、東京
2017年「As the Call, So the Echo」Gallery 916、東京
2016年「君の住む街」 表参道ヒルズ スペース オー、東京
「Your Choice Knows Your Right」 REDOKURO、東京
「THE NEW STORY」 POST、東京
「BACON ICE CREAM」パルコミュージアム、東京
2012年「Girl」 Raum1F、東京

出版物
2021年 『flowers』赤々舎
2020年 『The Good Side』 Editions Bessard
2019年 『Girl』BOOTLEG
2018年 『Los Angeles / San Francisco』 Union Publishing
『POCARI SWEAT』青幻舎
2017年 『As the Call, So the Echo』赤々舎
『君の住む街』SPACE SHOWER BOOKS
2015年 『BACON ICE CREAM』PARCO出版
『THE NEW STORY』私家版
『march』
2012年『Girl』PLANCTON

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