昨今のファッションを語る上で、キーワードになっているのが“リラックス”。コロナ禍を経て、家にいる時間が多くなったことも相まって、オーバーサイズかつカジュアルな服が支持を集めています。
ただ、そういったスタイルはお腹一杯という諸兄もいるはず。それなら、今年はトラッドに回帰してみてはいかがでしょう。
今回ご紹介するのは、〈タリアトーレ(TAGLIATORE)〉の22年春夏コレクション。ブランドが得意とするクラシックなスタイルを貫きながら、時代の要求にも応える仕上がりとなりました。
まずはシーズンビジュアルをご覧ください。
イタリアの最南プーリア州で創業したテーラードファクトリー「レラリオ(LERARIO)」社。その2代目オーナー兼クリエイティブディレクターのピーノ・レラリオが、1998年にオリジナルブランドとして立ち上げたのが〈タリアトーレ〉です。
世界中の紳士たちを虜にするブランドの魅力は、イタリア語で“裁断士”を意味するブランド名の通り、卓越したカッティング技術にあります。ウエストを絞ったシャープで立体的なシルエットは、着る人を最大限に美しく、エレガントに際立たせてくれます。
また、デザイナーのピーノがテキスタイルへの深い造詣を持つことから、使用する生地に一切の妥協はありません。色やパターンのバリエーションを豊富に揃えるだけでなく、糸からセレクトし、オリジナルの生地をデザインするほどの拘りぶりです。
そんな〈タリアトーレ〉の新作コレクションには、ブランドを代表するスーツスタイルのほか、レザーのライダースやサファリジャケット、ブレザーにステンカラーコートなど、日常でも着やすいクラシカルなアイテムがラインナップ。
カラーはモノトーンをベースとしつつ、ライトグレー、ベージュといったナチュラルな色合いをキーカラーに。また、春夏らしい鮮やかなブルーやグリーン・セージが、コレクションに華を添えます。
こうしたクラシックなアイテムは、動きにくかったり、着心地の面で堅苦しさを感じるひともいるかもしれません。〈タリアトーレ〉が得意とするのが、細身のフォルムならなおさらだと思います。
しかし今季は、リラックスムード漂う世相を反映し、これまで提案してきた素材をさらにアップデート。高品質のコットン、リネン、シルクに伸縮性を持たせることで、柔らかな着心地を実現しました。
ブランドの核となる部分はぶらすことなく、一方で時流もしっかりとキャッチするクリエイションもまた、〈タリアトーレ〉が通なファッション好きを唸らせる所以でもあるのでしょう。
ファッションを楽しみながら、快適なライフスタイルを過ごしたい、そんな現代の紳士に贈る〈タリアトーレ〉の22年春夏コレクション。進化を止めないクラシコイタリアの真髄を、ぜひ堪能してみてください。