ままならない世の中をもがく、甥と叔父の数日間の記録。マイク・ミルズ新作『カモン カモン』 は本日から公開です。

きれいに片付けられない人間の感情を、リアルな映像であぶりだすマイク・ミルズ。『人生はビギナーズ』『20センチュリー・ウーマン』などの作品で知られている映画監督です。

とくに “家族” というものに目を凝らしてきた彼ですが、新作『カモン カモン』は叔父と甥の物語。自身の子供をお風呂に入れている時に着想を得たそうです。

STORY
NYでラジオジャーナリストとして1人で暮らすジョニーは、妹から頼まれ、9歳の甥・ジェシーの面倒を数日間みることに。LAの妹の家で突然始まった共同生活は、戸惑いの連続。好奇心旺盛なジェシーは、ジョニーのぎこちない兄妹関係やいまだ独身でいる理由、自分の父親の病気に関する疑問をストレートに投げかけ、ジョニーを困らせる一方で、ジョニーの仕事や録音機材に興味を示し、二人は次第に距離を縮めていく。仕事のためNYに戻ることになったジョニーは、ジェシーを連れて行くことを決めるが…

主人公ジョニーを演じるのはホアキン・フェニックス。鬼気迫る『ジョーカー』での熱演が記憶に新しいですが、今作では甥の面倒を見る叔父役と、まずはその振り幅に驚かされます。子供と接するなかで浮かび上がる孤独や葛藤を、内省的な演技で魅せてくれました。

甥のジェシー役には、オーディションで選ばれたという新星ウディ・ノーマン。自身の境遇にどうしようもない怒りや悲しみを抱える9歳の男の子を、幼き身体でみごと演じ切りました。英国アカデミー賞の助演男優賞ノミネートにも頷けます。

ひょんなことから数日間をともにすることになったふたり。甥ジェシーの話に耳を傾け、一挙手一投足にハラハラする叔父ジョニーをみていると、自身の親子関係や子供という存在について省みたくなるはずです。

公開は本日より。これはマイク・ミルズと彼の子供の記録であり、あなたの記憶のなかにある断片かもしれません。

グラフィックデザインは、フイナムの映画コラムでもおなじみ大島依提亜さん。

ガールフイナムでは、マイク・ミルズ本人のオンラインインタビュー記事を公開しているので、そちらも合わせてチェックしてみてください。