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連載【で、NEW VINTAGEってなんなのさ?】Vol.47 S.F.ではフーディー×ワークパンツに+も。サイクルジャージの肝は“サイズと着方”。

そもそもニュー・ヴィンテージとは?

1990年代、誕生から100年経過している“アンティーク”に対し、その定義は満たしていないけど、価値のありそうな古着を打ち出す際に使われ出した言葉“ヴィンテージ”。いまではさらに“レギュラー”と呼ばれていた80年代以降の古着にも、“ニュー・ヴィンテージ”という新たな価値を見出す動きがあります。本企画ではこの古着の新たな楽しみ方を、スタイルの異なる4つの古着屋が提案。それぞれの感覚でその魅力を語ります。

なんだかんだ6シーズン目に突入した本連載。第47回目は、豪徳寺にある「アストロロジー ストア(Astrology store)」の與賀田洋佑さん。

Text_Tommy
Edit_Yosuke Ishii


與賀田洋佑/Astrology store 店主
Vol.47_サイクルジャージ

―今回、ご紹介いただくニュー・ヴィンテージなアイテムは?

ぼく自身が自転車に乗っていることもあって、最近気になっているサイクルウェアを持ってきました。種類的にはS/S(半袖)、L/S(長袖)があって、海外では両方まとめてサイクルジャージと呼ばれており、中にはベスト型のサイクルベストもあります。フロントはフルジップが多く、たまにハーフジップもあったりしますね。また背面が長めに設計された裾もデザイン的なポイント。これは前傾姿勢で自転車に乗った際に背中が出てしまわないようにという配慮です。また背面にはポケットが備えられていて、水分補給用のドリンクボトルやエネルギー補給用の補助食が収納できるようになっています。

―本来は素肌の上に直接着るものなんですか? アニメや漫画なんかを観ていると、そんな感じでした。

確かにピタッと着るイメージですよね。サンフランシスコに住んでいる元メッセンジャーの友人がヴィンテージのサイクルジャージをよく着ていて、それがすごく格好よくて衝撃を受けました。実用性を考えるとタイトに着るのが正解なんですが、彼は〈ディッキーズ(Dickies)〉や〈ベンデイビス(BEN DAVIS)〉のワークパンツにフーディーを合わせて、その上にサイズアップしたサイクルジャージを羽織るみたいな。その感じがすごく新鮮で。

―いつもの格好にサイクルジャージをプラスするっていう。

そうです。以前はユーロ古着を扱うショップでよく扱っているのを見かけましたが、出てくるものって素材もニットだったりして大体サイズがすごく小さめ。それが最近になって90〜00年代に作られたサイクルジャージに目を向けてみたら、割と着やすいモノが多いことに気が付きまして。ボディにプリントされた協賛メーカーも見覚えがあったり、眺めているだけでも面白いんですよね。コレなんて、なぜか〈ディスカバリーチャンネル(Discovery Channel)〉がメインスポンサーですよ(笑)。

ナイキのサイクルジャージ ¥13,200(アストロロジー ストア)

―wiki曰く、科学・テクノロジー、歴史、クルマ・バイク、建築、ミリタリー、人体、旅、パニック・災害、超常現象・事件・事故、冒険・挑戦の10ジャンルを網羅する世界最大のドキュメンタリーチャンネルですね。

意外性があります(笑)。あとは自転車ブランドの〈トレック(TREK)〉、自動車メーカーの〈スバル(SUBARU)〉、あとアメリカで2番目に大きなフィットネスチェーン〈24アワーフィットネス(24 Hour Fitness)〉など、そうそうたる企業のロゴが並んでいます。ちなみにボディは〈ナイキ(NIKE)〉のようです。そもそも生地自体にも鱗のような不思議な柄が入っていますし、結構凝っていて格好いいなって。

―確かにこれなら“ちょっと派手な服”の感覚で羽織れそう。

これでサイズはXL。近年モノだと割と大きめサイズも見つかりやすい気がします。で、もう1つ面白いのがコレ。〈パールイズミ(pearl izumi)〉の80年代のサイクルジャージです。今も現存する日本のサイクルウェアのメーカーですが、アメリカでも愛用者が多く、度々目にします。サンフランシスコの自転車乗りに好まれる蛍光色の組み合わせや、フェードした色の風合いがなんだか新鮮で、すごくアメリカらしいなと。パッカブル仕様になっていて、背中のポケット部分にボディを収納することが可能です。

パールイズミのサイクルジャージ ¥9,460(アストロロジー ストア)

―1枚目とはまた全然違って80年代らしいデザインが面白いですね。もう一着は〈パタゴニア(Patagonia)〉なんですね。

2000年にリリースされたサイクルジャケットです。素材は薄手のリップストップナイロンで、同じようにパッカリング仕様。ただ背中のポケットはありません。見所は〈パタゴニア〉の他アウターでも見られる“Yジョイントスリーブ”。胸の上から肩を覆うようにして袖付けすることで肩と腕の可動性を高めるディテールです。アウトドアブランドが作っているということで、いわゆる自転車乗りの作るウェアとはイメージが異なり、レース着って感じではありませんが、好発色&美麗色のアイテムが見つかるのでオススメ。

パタゴニアのサイクルジャケット ¥14,300(アストロロジー ストア)

―與賀田さんはいつもどういったアイテムと合わせているんでしょうか?

ボトムスはワークパンツが多くて、インナーはTシャツとかで十分。あんまりチャリ乗りっぽく着てしまうとガチ感が出過ぎて「ちょっと違うなぁ」って。アメリカ西海岸の気楽なノリで羽織るのが違和感も生まれてイイのかもしれませんね。ちょっと前にスポンサー名とかがプリントされた車のレーシングジャケットが流行ったじゃないですか。それとか企業ロゴが入ったワークジャケットのノリで取り入れつつ、シルエットは今っぽくもう少しジャストに。

―チャレンジし甲斐がありますね。

正直、1着目のような協賛ロゴが並ぶタイプは「街で着るのが恥ずかしい」って人が大半だと思います。ただ、古着屋視点では、昔から「コレは果たして着れるのか?」ってアイテムを「これがアメリカだから!」と売ってきたワケで。今の世の中、どうしてもシンプルで無難なデザインばかりを求めがちだからこそ、こういう一見難しそうなアイテムを「コレが面白い!」と提案していきたいという思いは常にあります。

與賀田洋佑 / Astrology store 店主
古着業界でのキャリアスタートは、原宿の「ヴォイス(VOICE)」から。同店でバイヤーを経験した後に独立。自身で古着卸業を始め、10年目となる2021年、豪徳寺に実店舗として「アストロロジー ストア(Astrology store)」をオープン。店内には衣類だけでなく小物やヌイグルミなど、與賀田さんの審美眼で選ばれた“なんか雰囲気のいいアイテム”が並ぶ。
公式サイト:astrology727.base.shop
インスタグラム:@astrology__store

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