今シーズンの〈ドリス ヴァン ノッテン(DRIES VAN NOTEN)〉のボンバージャケットはいつもに増して充実している。
ひとつはフラワーモチーフをプリントした1着。ビスコースにシルクを混紡したベルベットは光沢があり、発色に富む。ドレープもこよなく美しい。
もうひとつはタイダイプリントを載せた1着。タイダイのニュアンスもさることながら、ハリのあるポリエステルとリブのコンビネーションが堪らない。
どこかフェミニンなあしらいはこれぞ〈ドリス ヴァン ノッテン〉といった趣きで、いずれもアートピースと呼んで差し支えのない域にあるが、今シーズンは以上の2着に比べれば一見そっけないほどシンプルな1着に惹かれた。
ウィメンズのクチュールでも使われるパッドを入れたナイロン・ボディは実に構築的だ。ブラックナイロン特有の艶やかなテクスチャーが上積みされているのが分かるだろう。ショルダーからスリーブに続く柔らかな曲線も特筆に値する。こちらもクチュールのエッセンスを採り入れているそうだ。
Photo_Hiroyuki Takashima
Text_Kei Takegawa