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連載【MONTHLY CCC SESSION】 VOL.11 荒木大輔 「何にも代えがたい経験値を持ったブランド」

デザインチームを公表しないアノニマスなブランドでありながら、着実にその存在感を高めている〈シティー カントリー シティー(City Country City)〉。そんなブランドの実態を探るべく、設立当初から親交の深いクリエイターたちへのインタビューを行う連載企画。謎のブランドの気になる中身を、あらゆる角度から迫っていきます。

11回目に登場するのは、スタイリストの荒木大輔さん。ブランド設立当初からルックのスタイリングを手掛ける荒木さんは、〈CCC〉の服を手に取り、どのような感触を抱いているのか。クリエイションに対する想いを語ってもらいます。


経験値がものすごい。それは何にも代えがたいもの。

ー荒木さんと〈CCC〉の関係性を教えてください。

荒木:デザインチームのひとりとは、同郷で同い年なんですよ。だから昔から知っているんです。彼は地元のエースで、東京へ行ってもぼくとは全然違う遊び方をしていた。「敵わないな」って思ってましたよ(笑)。他のメンバーに関しても、専門学校が同じだったんです。それで「すごいやつがいる」っていうのは噂になってて。

ーこの連載を通して、出演者の方々は〈CCC〉について裏原宿の文脈で語ることが多かったんですが、荒木さんは裏原っぽさがないですよね。

荒木:わかります? それは同郷のメンバーの影響なんですよ。当時からめちゃくちゃ裏原に強かったから、自分は違う道を開拓しなきゃって思ったんです。それで専門学校を卒業して、熊谷(隆志)さんのアシスタントに就いて。

荒木:たぶん同郷ってこともあったんだと思うけど、彼らが昔やっていたブランドでも声をかけてもらっていて。だからずっと一緒に仕事をしている感覚なんです。その流れで〈CCC〉もご依頼をいただいて。

ーある意味ではチームの一員というわけですね。そちらのほうが細かなニュアンスなど、ブランドが意図することを表現しやすい。

荒木:そうですね。なんとなく空気感がわかるというか。「こういうムードだよね?」っていうのが、いちいち言葉にしなくても理解できる。それは大きいですね。

ー昔のブランドも含め、〈CCC〉のデザインチームがつくる服に対してどんな印象を抱いていますか?

荒木:やっぱり裏原っぽさは感じますよね。ずっと原宿にいたひとたちだから、その積み重ねが服に現れているというか。だけど、いつも同じではないんです。毎回その時代のニュアンスを服に盛り込んでいるのも感じますね。

〈CCC〉に関しては、やっぱり音楽のカルチャーがしっかりと乗っかっていますよね。それがいまの気分にも合うし、音楽って普遍的なものだから強い。幅広い世代に響く可能性を持っているし、時代が進んでも色褪せない圧倒的にタイムレスなものでもあると思うんです。

そして経験値がものすごい。それは何にも代えがたいものじゃないですか。最初期から彼らがつくる服を見ていて、どんどん良くなっているのを感じるし、それと比例してブランドも成長を遂げている。そして、そこにお客さんがついてきている。だけど、もっと伸び代もあってポテンシャルを感じる。だから期待しかないですね。

グラフィックがブランドの強み。

ーブランドの初期からスタイリングを手掛けていますが、どんなことを意識されましたか?

荒木:最初はTシャツとかスエット類しかなくて、本当にシンプルな構成だったんです。だから難しく考えず、ロケーションとか、モデルのキャスティングで雰囲気を活かすことに集中しました。

2021 Summer Collection(2nd Release)より。

ー出来上がったルックを見ていると、音楽を感じるロケーションで、カルチャーの香りが漂うモデルをキャスティングされていますよね。

荒木:当然のごとくそういう流れになりますよね。みんなと話してても、やっぱりそういう感じだよねっていうことで一致して。少ないアイテムの中でやらなきゃいけない難しさは当然あるんだけど、グラフィックがブランドの強みとしてあるので、それを際立たせるように考えましたね。

2023ss Collectionより。

ー先ほど話されていたように、荒木さんと〈CCC〉の関係性から自ずとそうした方向性になるというか。

荒木:編集会議的なことはまったくしないですからね(笑)。それよりも彼らと話す日常会話のほうが重要なんです。昔話をしたりとか、「最近どう?」って話をしたり、「このグラフィックって元ネタなんだっけ?」とか、そうゆう会話をしながらいまの気分を確かめ合うというか。

ー前のブランドからスタイリングをしていたと話していましたが、昔からそんな感じなんですか?

荒木:そうかもしれないですね。ぼくは足し算をあまりしないんです。基本的にはシンプルに、与えられた服をどう活かすかということを意識していて。素材を壊さないように、そこにあるものをいかに良く見せられるかということに重きを置いています。デザインチームも、そこに信頼をしてくれていると思うんです。

ー足し算をしないというのはどうしてなんですか?

荒木:だって、主役は〈CCC〉なわけだから。ぼくがどうスタイリングするかよりも、出来上がったルックを見たバイヤーさんやお客さんに欲しいと思ってもらうことが重要ですよね。〈CCC〉に限らず、それは昔から自分の方法なんです。ただ、そのときの気分やトレンドの流れもあるので、ファッションのど真ん中にいる人間として、「いまだったらこういうニュアンスがいいんじゃない?」というのはスタイリングで表現するようにしています。

ートレンドの大きな波というよりは、そのときそのときの細やかな気分ということですよね。

荒木:ずっと続けて、いろんなものを見たり、触れたりしながら感じられるものですね。そのために毎日のように原宿をパトロールしてますから(笑)。

海外の大手セレクトショップに扱われるブランドになって欲しい。

ー荒木さんはブランド設立当初から〈CCC〉を見てきた数少ない人物だと思うんですが、成長を見届ける中で感じる変化はありますか?

荒木:どんどんグラフィックが良くなってますよね。それを見ているのは、すごく楽しいです。コラボも増えてきているし、それは相手のブランドに認められている証でもある。さっき経験値の話をしましたが、デザインチームのネットワークの広さもブランドの力になっているように思います。

ーこれから期待することはありますか?

荒木:アイテムの幅がもっと広がると、よりおもしろくなりますよね。でも、いろいろデザインする力はあるけど、あえて小出しにしていると思うんですよ。いきなりフルスイングしても、それが数字につながらない可能性だってあるわけで。ちょっとづつやって、ステップアップしていくのがいいかもしれないですね。

今後アイテムが増えて、服のクオリティもいま以上にどんどん上がっていくと、また違った視点が生まれそうだなと思います。値段を上げてでも質の高いものを出したほうが、いまは受け入れられたりするから。自分も歳を重ねる中でいろんな服を見てきて、目が肥えてきているじゃないですか。だからちょっと質のいいもののほうが着やすいというのもありますし。若い世代でも高い服を着ている子たちをよく見るし、ものが良ければ動くんだなっていう実感があるので。

それでゆくゆくは海外の大手セレクトショップなどに扱われるブランドになって欲しいと思います。

荒木大輔
1976年生まれ。群馬県出身。スタイリスト熊谷隆志氏に師事し、2001年に独立。雑誌などをはじめとしたファッションメディアやブランドのルックブック、俳優、アーティストなど、幅広いフィールドで活躍。ブランド設立当初から〈シティー カントリー シティー〉のスタイリングも手掛ける。
Instagram:arakid3

Photo_Kazunobu Yamada
Text_Yuichiro Tsuji

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