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連載【MONTHLY CCC SESSION】 番外編 〜アーカイブTから知るブランドのあゆみ〜

デザイナーチームを公表しないアノニマスなブランドでありながら、着実にその存在感を高めている〈シティー カントリー シティー(City Country City)〉。そんなブランドの実態を探るべく、設立当初から親交の深いクリエイターたちへのインタビューを行う連載企画。

今回は番外編として、過去のアーカイブTシャツをご紹介。これまでにリリースされた名品の数々から漂うカルチャーの香り。そこにはどんなストーリーが込められているのか? 徹底解説します。


No.01:Brand Launch Tee(2021)
ブランドの歴史はここからはじまった。

2021年に発売されたブランドローンチを告げるTシャツは、オリジナルのロゴが胸元にプリントされたシンプルなもの。販売の告知はすべてSNS上で行われ、取扱ショップも極めて限定的なことから、多くのひとが謎めいたこのブランドに関心を寄せることになりました。ただ唯一ヒントを挙げるとすれば、〈オニータ(ONEITA)〉のボディが使われていること。告知方法も含めたこうしたアプローチに90年代の裏原の香りを嗅ぎ取ったひとも多いはず。とはいえ、それだけの情報ではどんなブランドなのかを知る由もありませんが…。


No.02:Music Tee(2021,2022)
ファッションではなく、音楽的な文脈を示唆するアイテム。

これらのTシャツを見てビビッときたら、かなりの音楽通でしょう。ニューヨークのクラブカルチャーに大きな影響を与えたデビッド・マンキューソが、自ら主催するパーティ「The Loft」でかけていた“ロフト・クラシックス”と呼ばれる名盤ジャケットたちを大胆にサンプリングしたアイテムからは、このブランドが90年代のクラブカルチャーから多大なる影響を受けていることがわかります。左はブランドのオリジナルで、中と右は交流があるロンドンの某デザイナーが手がけたもの。〈シティー カントリー シティー〉のインスタグラムを遡れば、そのデザイナーが誰なのかが分かります。そして、妙な納得感を得られるはずです。


No.03:sacai Collaboration Tee(2023)
渋谷の景色とシカゴの景色が重なった?

音楽文脈のアイテムのリリースは、思いも寄らぬブランドとのコラボレーションを誕生させました。〈サカイ(sacai)〉とのコラボは、ファッションシーンに大きなサプライズを与えました。1980年代にシカゴで行われたレイブのフライヤーをサンプリングしたTシャツをはじめ、コーチジャケットやパーカ、小物類もリリース。このローンチを記念したパーティも渋谷にある「不眠遊戯ライオン」で行われ、大きな賑わいを見せたのは言うまでもないでしょう。パーティ参加者からは「DJブース裏の窓から見える渋谷の景色が、このTシャツのグラフィックと重なった」との声もあったのだとか。


No.04:Dry Tee For Runner’s Item
ランニングシーンとのつながり。

ファッション、音楽、と続いて、つぎに来るのはスポーツです。インラインでは、コットンTシャツのみがリリースされる中、アナザーサイド企画として不定期にリリースされるドライTシャツ。右は、1枚のみパーソナル用に生産されたスペシャルアイテム。中は、BEAMS限定で不定期にリリースされる2022年にデザインされたドライTシャツ。これを機にデザインチームのメンバーはランニングをスタートするなど、走ることによってインスピレーションを得ている様子。


No.05:The Apartment, Marmot Collaboration Tee(2023)
シンプルながらもインパクトを残す1枚。

昨年リリースされた〈マーモット(marmot)〉とのカプセルコレクション。そのポップアップイベントを行なった「The Apartment」とのトリプルコラボのTシャツは、3者のロゴをプリントしたのみのシンプルなデザインながら瞬く間に完売。ありそうでなかった組み合わせによってインパクトのある仕上がりになっています。このカプセルコレクションを機に〈マーモット〉との関係性を深め、今年の3月には第二弾のコラボアイテムをリリースするなど、蜜月関係を築き上げている〈シティー カントリー シティー〉。今後の取り組みにも期待したいところです。


No.06:RANA-MUSICA RECORD STORE 2nd Anniversary Tee(2023)
音楽によって築き上げられた稀有な関係性。

下北沢にあるレコードショップ「RANA-MUSICA RECORD STORE」の2周年を記念して制作された特別なTシャツは、〈イズネスミュージック(ISNESS MUSIC)〉との共作。お店のオーナーであるナカハラさんは数々のレコードショップにてバイヤーとして経験を積み、その審美眼を磨いてきた人物。古くから両ブランドとの交流を深め、このコラボに至りました。曰く「この2ブランドを引き合わせられるアカウントって限られると思う」とのこと。そのあたりのストーリーはこの連載のvol.04で詳しく語られているので、未見の方は是非チェックを。


No.07:Restaurant Tee(2022,2024)
より濃密なストーリーを感じさせる飲食店とのコラボ。

コラボネタでいえばこんな変わり種もありました。かつて原宿のとんちゃん通りにお店を構え、現在は内幸町で営業を続ける「ラ・ヴェルデ」と、浅草にある「餃子の王さま」とのコラボアイテム。どちらもデザインチームの胃袋をガッチリと掴んで離さない名店です。ファッションや音楽をネタにクリエイションを展開するのは決して珍しいことではないけれど、ブランドと縁がある飲食店との協業はストーリー性がより際立ってきます。どうしてこの2店をピックアップしたのか? その背景にある物語に、さまざまなエピソードが詰め込まれているのは想像に難しくありません。「餃子の王さま」では、スタッフユニホームとして着用され、店舗限定で購入可能です。


No.08:Thelonious Monk Tee(2023)
どうしてセロニアス・モンクなのか?

ハウスミュージックの印象が強い〈シティー カントリー シティー〉ですが、ブラックミュージックの歴史を遡る上でジャズは決して避けて通ることのできない音楽のひとつ。とりわけ「The Loft」に影響を受けているならば、なおさらのことでしょう。このTシャツに描かれているのは、ジャズピアニストとして孤高の地位を築き上げる巨人、セロニアス・モンク。偉大なるジャズマンが数多く存在する中で、彼を取り上げるところに、このブランドの音楽への向き合い方が伝わってきます。慈愛あふれる彼の演奏は決してキャッチーではないけれど、心の琴線に触れる旋律があるからです。


No.09:WAR Tee(2024)
ブランド名の由来はここから。

そもそも〈シティー カントリー シティー〉って、どんな由来があるの? そんな疑問を思い浮かべるひとも少なくないでしょう。これはカリフォルニアで結成されたWARが1972年にリリースした『THE WORLD IS A GHETTO』に収録された曲のこと。13分にも及ぶ長尺の曲は、ブルージーなイントロからはじまり、さまざまな展開を見せ、たくさんの情景が頭に描かれます。こちらも先述の“ロフト・クラシックス”の1枚として、いまでも語り継がれる名盤。それをノマドな古着屋「weber」の手引きによって大胆にプリントした音楽好き垂涎のアイテムです。


No.10:New Tee(2024)
この夏のワードローブに加えたい2枚のアイテム。

Tシャツ 左¥7,700 右¥8,800

そしてこちらは今季の新作Tシャツ。ジャマイカが生んだレゲエの神様、ボブ・マーリーがプロデュースした映画『カントリーマン』のタイトルロゴをサンプリングした1枚と、イギリスのソウルユニット・SOUL Ⅱ SOULの名盤『Keep On Movin’』のジャケットをオマージュしたアイテム。どちらも〈シティー カントリー シティー〉らしいサンプリングセンスが光ります。元ネタを知っていても知らなくても楽しめるグラフィックのユニークさは、このブランドならではのものでしょう。今年の夏の主戦力として、買い物リストに追加しておくことをおすすめします。


Photo_Kazunobu Yamada
Text_Yuichiro Tsuji

INFORMATION

CITY COUNTRY CITY

オンラインストア
インスタグラム

餃子の王さま
電話:03-3842-2552

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