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連載【MONTHLY CCC SESSION】 VOL.13 梶雄太(スタイリスト) 「能ある鷹は爪を隠す」

デザインチームを公表しないアノニマスなブランドでありながら、着実にその存在感を高めている〈シティー カントリー シティー(City Country City)〉。そんなブランドの実態を探るべく、設立当初から親交の深いクリエイターたちへのインタビューを行う連載企画。謎のブランドの気になる中身を、あらゆる角度から迫っていきます。

今回登場するのは、スタイリストの梶雄太さん。デザインチームとの関係性を紐解きながら、ブランドの魅力について語ってもらいました。


波長が合うっていうか、そんな感じ。

ー梶さんと〈CCC〉の繋がりを教えてください。

梶:デザインチームとはむかしからの知り合いなんです。渋谷で一緒にちょっと悪いことをしてたっていうか…。

ーどんなことをしてたんですか?

梶:いや、それは言えない…。というか、全部ウソです(笑)。

ー改めて、真面目にお願いします。

梶:デザインチームのひとりとは、とあるパーティで知り合いました。そのとき彼が酔っ払いすぎて、財布を忘れて帰っちゃって。それがすごく印象に残ってますね。

ーそれは本当ですか?

梶:今度は本当です。もう結構むかしの話ですね。10年、いやもっと前かな。

ーそれで意気投合したんですか?

梶:いや、そんなこともないんです。その後は会ったら挨拶するくらい。だけど、ぼくがブランドをやっていた頃に展示会に遊びにきてくれたりして、そこから徐々に交流が生まれていきました。彼らが携わっていた他のブランドと、ぼくのブランドでコラボしたりしたんです。それで一緒に前橋に行ったりとかもして。

ー〈CCC〉がはじまったときは、どんなことを感じましたか?

梶:Tシャツのボディに〈オニータ(ONEITA)〉を使っているのがおもしろいなと思いました。ボディブランド好きなんで。いろいろブランクボディがある中でも〈オニータ〉がお気に入りなんです。

ーそれはどうして?

梶:名前の響きとか、タグのデザインがなんかいいんですよ。ボディブランドの中でも、ちょっとずれたポジションにいると思っていて。その感じが好きなんです。あるときから見なくなったブランドだし、そういう部分でも惹かれましたね。それでデザインチームに電話をして、Tシャツを手に入れて。

ー普段着ているんですか?

梶:寝巻きにしてますね(笑)。

ー服のデザインに関してはどんなことを思いましたか?

梶:正直なことを言うと、あんまり気にしてなかったかも(笑)。もちろん見てはいるんだけど、それよりもぼくはデザインチームのことが好きですね。彼らってファッションに長く携わっていて、デザインの力もすごく持っているひとたちなんです。本来だったらそれってひとつの武器だし、看板にもなるんだけど、あえてそれを表に出してないような気がして、そこに惹かれるというか。能ある鷹は爪を隠すっていうのかな。

ーなるほど。

梶:あと、さっきの渋谷で悪いことをしてたっていう話もそうだし、Tシャツを寝巻きにしてるっていうのもそうだけど、ぼくはああいう冗談のような会話を普段からするタイプなんですけど、普通だったら流すじゃないですか。だけど彼らはそれをしっかりキャッチして、ラリーを続けてくれるんですよ。そういうひとって結構珍しくて、だからすごいんです。

ー仲が良いわけですね。

梶:波長が合うっていうか、そんな感じですね。

ーTシャツは寝巻きと言いつつ、今日は〈CCC〉のコーチジャケットをしっかり着てますもんね。

梶:90年代に着ていた、とあるブランドのウィンドブレーカーがあって。その当時にしてはすごく大きなサイズ感だったんですよ。それであるときこのコーチジャケットを見つけて、なんか近しい雰囲気を感じたんです。それで話を聞いたら、もともとぼくが着ていたのと同じアイテムをサンプリングしたって言ってて。

ーすごい偶然ですね。

梶:偶然なんだけど、実は偶然じゃないっていうか。それがファッションのおもしろさであり、ひとのつながりのおもしろさである。紐解いていくと、それを言語化できる言葉はきっといくらでもあるんだろうなって思います。

ー〈CCC〉はデザインチームを公表していませんが、そうしたアプローチに関してはどんなことを思いますか?

梶:彼らのスタイルに合っていると思います。仮に名前を公表していたら、なにかしらのアイデンティティを出さないといけなくなるけど、こういうやり方だからこそ割り切れる部分もあると思うんですよ。それによって生まれるデザインや、醸し出すムードがきっとあるし、それもブランドの魅力のひとつになりますよね。

ー最後に、今後〈CCC〉に対して期待することはありますか?

梶:ルックのスタイリングやらせてください(笑)。

ーもしオファーが来たら、どんなスタイリングをしますか?

梶:従来の〈CCC〉のルックとはまた違う世界観を築きたいです。それによって新しい側面を見せられると思うし、これまで作り上げてきたブランドのイメージも際立たせることができると思うので。ぼくとデザインチームの関係性があってこそ生まれるものをつくりたいですね。

梶雄太
1974年東京都生まれ。 アシスタントを経て、1998年からスタイリストとして独立。雑誌や広告、映画など、幅広いフィールドで活躍する一方、映像制作や執筆などジャンルを問わず表現を行なっている。
Instagram:@yutakaji_

Photo_Kazunobu Yamada
Text_Yuichiro Tsuji

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