連載「憧れの逸品」No.381 第二の皮膚のように馴染むザ・ロウのセーター。

サーマルのような凹凸に惹かれて手に取って、そのギャップに驚いた。軽やかでしなやかで、おまけに艶やか。ミリタリーでおなじみのカットソーとは似ても似つかなかった。

それもそのはず、〈ザ・ロウ（THE ROW）〉のVネックセーターはエクストラファインカシミアとシルクという贅を極めた糸を編み立てているのだ。

袖を通せば第二の皮膚のように馴染む。素肌かそれに近いインナーに合わせてこそ真価を発揮するセーターだろう。“究極の日常着” と胸を張るのももっともな一着だ。

袖付けの美しさや、編み地を変えた袖口にも注目したい。

メランジを思わせる陰影のあるブラウンカラー、ヘムの編み地を変えることでメリハリを利かせたニッティング、そしてリラックスフィット。どこをとっても非の打ちどころがない。

そろそろホリデーシーズンがやってくるけれど、パートナーにプレゼントをねだることができるなら、迷いなくこのセーターを挙げたい。

セーター「THAYER」 ¥383,900

Photo_Hiroyuki Takashima
Text_Kei Takegawa