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尾崎雄飛デザイナー/ディレクター/バイヤーなど多角的にニホンの良い物/事/文化を世界へ/未来へ繋げていくことを目指して活動中

我が輩はニホン人である。

尾崎雄飛
デザイナー/ディレクター/バイヤーなど
多角的にニホンの良い物/事/文化を世界へ/未来へ繋げていくことを目指して活動中

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世にも奇妙なニホンのグループ。

2011.11.29

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音楽が好きである。
生まれた頃から好きである。

音楽を嫌いであるという話は
聞いたことが無いのである。
では、誰もが生まれたときから音楽を好きなのか。

友人の赤ちゃんなんかを見ていると、
誰もが生まれてすぐに、音楽/リズムのような物に反応する。
そして、物心がつく少し前から、歌を唄うようになる。
さらに、物心がつくと、好きな音楽を好んで聞く、唄う。
誰もが楽しそうに。

「記憶は遺伝する」と聞いたことがある。
と、すれば自分の祖先が音楽を聞いていたその記憶が遺伝して、音楽を自然に好むのか。
It began in Africaとか言って、世界人類の起源はアフリカで、
アフリカの人たちが通信に太鼓を使っていて、それが音楽の起源で、、、
なんて言う考え方もあって、これも記憶の遺伝という考え方に係る部分がある。

では、音楽の嗜好に傾向があるのはなぜか。
クラシック、ロック、レゲエ、ジャズ、テクノ、ハウス、オルタナティブ、ヒップホップ、ソウル、ノイズ、各種の民族音楽、、、
様々な音楽がジャンル分けされてレコードショップに並ぶ。
iTunesで検索できる。
流行のFacebookなんかを覗いてみると、みんな「好きな音楽」というのをジャンルやアーティスト別で発表していて、それはまさに十人十色の様相だが、何となくその人の人となりが浮き上がってくる様にも思える。
そして、その傾向が似ている人たちはどことなく人格も似ている気がする。
好きな音楽を診断してその人となりを割り出せるというくらい、そこには関連性があるように思う。
逆説的に考えると、その人の人格形成と同じ様に、育ち方(聴き方)に因って音楽の嗜好の傾向が生まれると言うことにはならないだろうか。

僕は音楽をジャンル分けするということにはおおむね賛成であるが、
音楽をジャンルによって選り好みするということには興味が無い。
理由は特にないし、そうでない人を否定するようなつもりもないけれど。
ひとつのジャンルの音楽を体系的に突き詰めていくということをしたことが無い。
しかし、ひとりのアーティストを行き着くとこまで掘り下げることはある。
琴線に触れる音楽をとにかく何でも聴く、触れない物はなかなか聴けない。
その境界は音楽ジャンルではなくて、、、なんだろう。
これは音楽の趣味だけでなく、人格としてもそうなのだけど。
つまり僕は雑多に育ち、そこそこに一途で、かつ広く浅い人間だということか。
確かにそうだ。

というわけで今回は、そんな雑食系男子の琴線に触れた二組のニホンのバンドを紹介したい。
どちらも南蛮渡来のクラシックなロックやジャズ、ニホンの旧き佳き歌曲を大切に唄っているのだけれど、ただの懐古主義に陥らず、ジャンルを超えた楽曲を各自オレ流でのびのびと唄い上げるバンドだ。

ある事柄を「ジャンル」という名の箱に切って分けるのではなくて、個人の感性を橋渡しにして混ぜ合わせてしまうというのは、何によらず興味深い。



奇妙礼太郎、という奇妙な名前の男性シンガーがヴォーカルをとる大所帯のスイング楽団だ。
ギター、ベース、ピアノ、ドラムに加え、トランペット、サックス、トロンボーンのホーン隊を率いた構成。
なにより奇妙礼太郎氏の透きとおった伸びる声と、ライブでのトークが堪らなく魅力的だ。


現在は、井手靖さんのGrand Galleryから2枚組のCDを発売しており人気は高まるばかりだが、ご本人はメジャー指向が全くないというからさらに素敵である。
奇妙礼太郎氏はソロでの弾き語りも大変すばらしく、Youtubeで予習してはいたが、先日Grand Galleryさんのショップで行われた弾き語りライブに招かれた際についにソロを聴くことができた。
ボートネックのTシャツにスリムジーンズ、少し大きめのコンバースを着た氏は、気さくそのものであった。
バンドで唄う時よりも歌唱そのものが表舞台に立ち、奇妙礼太郎氏の魅力が更に高まる名演。
井手さんがCDにソロ版を加えた意味が理解できた。流石である。
『赤いスイートピー』を熱唱しているとき、観客から「これってこんないい曲だったんだ」というつぶやきが洩れた。
これこそがアーティストの力という物なのだろう。



フイナム・ブログも書かれている、ご存知小西康陽さんがピアノを担当するスリーピース(基本)バンド。
当然、小西さんが素晴らしいのだが、もちろんそれだけではない。
ヴォーカルにしてリーダーの前園直樹氏がまた大変に佳い唄い手なのだ。
奇妙氏とは対照的に朗々と唄い上げるヴォーカルなのだが、感情表現が豊かで、お酒が好きな、僕の好きなタイプの唄うたいだ。


彼らもまた、小西さんのREADYMADEからニューアルバムを発売したところ。
惜しくも行けずだったが、まさにこのブログを書いている本日、吉祥寺でライブをしていたらしい。
僕の大好きな小西さんの独特なピアノと、前園氏の深味のあるヴォーカルとが奏でるハーモニーは、ほの寒い初冬の夜、一層熱く耳に焼き付いたことだろう。

前園氏はレコードショップをしていることもあって、国内外あらゆるジャンルの音楽に明るく、彼が唄う昭和の歌曲は聴いたことが無い程レアな歌曲でありながら、これ以上無い程の名曲ばかりが選曲されている。
遠い昔に作られた音楽が、今の人に唄われて、その音楽の持つ力が再び人々に振りまかれるというのは本当にステキなことだ。


百聞は一見一聴に如かずというわけで、彼らについて敢えて多くは語らない代わりに、Youtubeの関連動画を沢山観て欲しい。
このようにして、ニホンの歌曲のすばらしさを改めて知ることができる、という点は、奇妙、前園両氏に共通のことである。
彼らのライブでは、音楽やアーティストの力というものを感じることもできる。(これって、誰のライブでも感じられる訳では無いのだよな、、、。)
また、幸運なことに彼らの音楽は今現在、近くで、頻繁に(しかも安く)観ることができる。

興味のある読者諸兄はぜひ、彼らのライブに足を運んでみて欲しいのである。


おまけ
ネット社会の恩恵として、遠く離れたニューヨークのジャズクラブに、ニホンにいながら、しかも朝から参加できるという幸運もある。
日本時間の8:30頃から、こちらもぜひチェックしてみて欲しい。




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