HOME  >  BLOG

Shop / Brand Blog

尾崎雄飛デザイナー/ディレクター/バイヤーなど多角的にニホンの良い物/事/文化を世界へ/未来へ繋げていくことを目指して活動中

我が輩はニホン人である。

尾崎雄飛
デザイナー/ディレクター/バイヤーなど
多角的にニホンの良い物/事/文化を世界へ/未来へ繋げていくことを目指して活動中

Blog Menu

美しさ/キモヲタVSリア充

2011.11.01

このエントリーをはてなブックマークに追加
日本が例年通りの穏やかな秋晴れで学祭やら運動会をしている頃、
ビッグ・アップル=ニューヨークは季節外れで異例の大雪に見舞われた。
またも異常気象。偶然とはいえ、本当に今年は異例/未曾有続きだ。

異例/未曾有といえば、あらゆる異例と未曾有に立ち向かい、実現してきた米アップル創始者のスティーブ・ジョブズ氏が先月死去した。
あれからすでに約1ヶ月か。僕はまだジョブズに死んでほしくなかった。


20年ちかく前、MS-DOS時代からPCを触っている意外と電脳な僕は、そういう世間の流れそのままにWindows95以来の一貫したWinユーザーであった。
Mac=マッキントッシュに関しては「もう一種類パソコンがあるんだよね、真四角のやつ」と言うぐらいの認識でいた。
あるいは「グラフィック系の人が使っているオシャレ重視のやつ」とか。

1998年、iMacのデビュー当時にはそれなりの憧れを感じたが、当時は経済力も無く、またディスプレイ一体型のスカしたコンピュータに対して「テレビデオwww」などと言って、キモヲタVSリア充的な理由無き負け惜しみ感情をも抱いていた。

5年後の2003年、iPodが登場した。
特にアンチAppleというわけでもなかった音楽好きの僕は、(これまた世間の流れそのままに)これに飛びついた。
第3世代のiPodだった。懐かしい。
(そのiPodはまだ現役でDJミキサーに繋いでるって書こうと手にとってみたら、チュン、チュンと鳴きながら初めて見る画面を映し始めて止まらなくなった、、、、。じゅ、、十字架て、、ジョブっさん、、、!!涙)
読者諸兄も体験されたかと思うが、iPod登場以来、僕にとっても音楽のあり方が変わった。
CDに関しては「持たない時代」になり、友人とファイル共有したりもするようになった。
しかし僕は元来音楽は多くをアナログレコードで聴く人間であったし、WinとMacの操作性の違いについていける気がせず、ここでもMacに移行する理由は無く、レコード回してSonyのPCで楽しくテレビ見たり音楽を波形編集したりしていた。

さらに5年後の2008年、iPhoneが日本デビュー。
運良くJ-phoneからのSB系キャリアだった僕は、当然ながらこれを手に入れた。
これまでのケータイには有り得ない美しい躯体に胸躍るような機能の数々。画期的なタッチパネル。
ここでMacの圧倒的な「デザイン性能」というべき特徴に気づき始める。

翌2009年、ついに自宅用にiMacを購入、Winと並行してのMacユーザーとなった。
理由は「インテリアにおいて僕の美感の許し得る唯一のコンピュータ」だったからだが、言い換えればただのカッコつけでしかなかった。その程度の理由だった。
ところが、カッコつけツールのそいつは驚く程の速度で僕の生活を蝕み、変えていってしまったのだ。
ここでもMacの「デザイン性能」というヤツにやられてしまったのである。

最低限のボタン、配線、付属品、最高品質の機能。合理的で速やかなコンセプト。
さらにオシャレインテリアに静かに調和し、かつモテる、ときたらもう言うこと無しだった。
それは、キモヲタ気質の僕がリア充生活へと変革していくことでもあった。
健やかで明るい(モテる)未来が目の前にあった。
変革されればヲタが潜るのは早く、「もっとモテろ、めちゃめちゃモテたいっ」とばかりに自宅のあらゆる環境を速やかにMac化した。

かくして我が家はMac信者の典型的な家となった。
ネットワーク環境がAirMacで整備され、テレビにもApple製品が取り付けられた。
iPhoneアプリですべてをリモートコントロールし、あらゆる部屋でiTunesからの音を鳴らした。

その信仰心は一般の婦女子を寄せつけず、「モテ」からは遠のいた感があったが、僕は満足だった。
Macは「生活」という雑然たるエレメント(要素)を正しく美しいデザインによって美装し、より豊かなものにしてくれるが、これは「人体」を美装するファッションと同じことなのだと気がついた。

美しい物はキルトのカバーで覆い隠すのではなく、露出させ、そのランドスケープとの調和を慈しむのがいい。
あるいはキルトのカバーをかぶせなくてはならない場合、それは美しいキルトのカバーであるべきだろう。

美しいといえば、iPhone4は優秀なスマートフォンであると同時に、MoMAに展示されてもいいぐらい美しい躯体を持っている。
また、ヘリのフロントガラスに使われるレベルの剛性/強度を持つガラスと、精密に削り出された硬質ステンレスの側面という組み合わせは、相当な強度を保証する、、、はずなのだが。
ネット上はおろか、身の回りでも頻繁にiPhone4のガラスが割れてしまった人を見かける。
やっぱりこの美しい躯体を素のままで使用することは難しいのか、でもケースをつけてしまうとこの美しい躯体は隠れてしまうし、、、。
このことは聡明な読者諸兄も悩み苦しんでいることだろう。

そ こ で

今回は長い前フリを読み抜いてくれた方にだけ、iPhone4の美しさを損なわない、否、むしろより美しく豊かにするiPhone4美装ケースを紹介したい。


IMG_6306.jpg

最近ではちらほら見かけるアルミ製のカバー。軽量・堅牢が売りの物なのだが、注目したいのはこのデザインの美しさ。
Macbookなどと同様、カリフォルニアでアルミ板から精密に削り出された素材を使用。1台1台にフィッティングテストが行われ、シリアルナンバーで管理されているという。なるほど、iPhone4がスゥッと隙間なく入り、ボトムパーツを穿かせて六芒星型ビスで固定すると、iPhone4がまったくズレない。
装着すると、背中のXフレームの隙間から、Apple社の美しいロゴマークや「iPhone」ロゴが見えるようになっており、良いデザインを殺さず、生かすという発想が伺える。

IMG_6307.jpg

表面はすっきりシンプルだが、アルミの素材感やカーブの美しさで存在感抜群。Apple製品のカーブとも調和する。
また、以前使用していたシリコンのケースはその素材の特性上滑りが悪く、ジーンズのポケットに入っていき辛いという不満があったが、このアルミ製ならiPhone4を素のまま使っている様にスッと滑る。使用感についても大変優秀なのだ。

このROKFORMケースと僕はロサンゼルスの「ロンハーマン」で出会ったのだが、日本に帰ってきて調べたところ、バイク屋さんが輸入販売しており、つい先日からはアマゾンでも送料無料で買えるようになった模様。
iPhone4Sを手に入れて、いいケースはないかとお探しの方はぜひ試してみてほしい。
9345円からとそれなりに高価だがそれだけの価値はあると思うので。


さて、美しいApple製品とそのフィロソフィーにすっかり脳を洗われて、10月に発表/施行されるiOS5及びiCloudのために準備万端で待機していた僕は、10月5日の突然すぎる訃報に、唖然として言葉が出なかった。
泣くこともないし、笑うこともできなかった。

iOS5はローンチされ、次なるiPhone5のポジティブな情報もあるようだが、僕はいまいち盛り上がることができないでいる。


僕はまだジョブズに死んでほしくなかった。

けれど、彼が遺した偉大な芸術品であるこの世界で、
キモヲタからリア充になった僕のやることはまだまだあるんだ。

追悼。R.I.P.

IMG_0130.jpg



※コメントは承認されるまで公開されません。