されど、マルジェラ。
2012.11.14
H&Mのプレスをしている親友に誘われて、
の展示会にお邪魔した。
マルタン・マルジェラ。
多感だった少年時代、最も衝撃と影響を受けたと言っても過言ではないブランドだ。
多くの同世代の読者諸兄もそうであろう。
マルジェラ本人の引退や、拡販路線など、ネガティブなエピソードを経てもなお、不変の一貫した「哲学的/伝統的」な物作りには常に感服させられる。
一方のH&M。ファストファッションの申し子の如く世に現れ、一貫した「低価格/高感度」の物作りをしている会社だ。
このかけ離れた2社が協業?
やれやれ、実にコマーシャルな話だ。というのが正直なところだった。
「あのマルジェラ」をファストファッションにしてどーするんだい、まず、コスト的に無理無理と思った。ゴメンネアッチャン。
いや、賢明な読者諸兄だってそう思っている...と思う......。
が、しかしである。
あれ??!!??
フツーにマルジェラやんか......!
エッー.....??!
...なにこの値段......。
ちゃんと、できてるじゃんか。協業。
アッチャン、本当にごめんなさい。
いや、すごいな、コレ!!!
いやはや、本当にすばらしいほどにナイスチョイスな過去のアーカイブを復刻していて、且つ、作りの面でもまったく遜色が無い。
僕は職業柄コスト等々のイメージはある程度見えるのだが、
コレに関しては本当に物の作りに対して予想のつかない上代がついている。
いや、なにより評価すべきは異常なコスパの高さではない。
コスパはH&Mのお家芸だ。ある意味ではこの驚きは想定内。
本当にすごいのはこの「RE-EDITION」というコンセプトと、H&Mの「ファッション」へのこだわりだ。
今回H&Mはこの協業において「マルジェラがH&Mだけのためにデザインした」云々ということをしなかった。
マルタン・マルジェラに最高の敬意を示して、
マルタン・マルジェラブランドではもう作る事の無い、過去の名作を復刻した。
これがすばらしい。
曰く「昨今のファッションの歴史における最も重要な服の一部がH&Mで手に入る事になります。アイテムは極めてオリジナルに近く、非常にラディカルなコンセプトがいかに魅力的で着こなしやすいファッションになり得るかを証明しています。」
先鋭的なファッションへの入り口となること。
これは本当にH&Mのような企業がやる意味のある事だと思う。
また、H&Mはもとより「ファッション」へのこだわりを強く持った会社である。
というか、ファッションの会社なのだ。普通に。
ファストファッションはファッションじゃないという正当な理由は、無い。
彼らは僕らと同じ様にマルタン・マルジェラが好きで、
そのリスペクトを「協業」という形で表した。
そこにはH&Mの精一杯の物作りへの努力が詰まっている。と、思う。
いや、あれは努力無しでは作れないな......。
一貫した哲学と物作りへのひたむきさ。
この2社、決してかけ離れてはいないのだ。
マルタン・マルジェラの過去アーカイブの素晴らしさを再確認しつつ、
H&Mの哲学とマルジェラの哲学の融合点について考えながら歩いて帰った。
発売は15日(木)の朝8時だって。
友人たちもみんな並ぶらしい。
今夜は眠れそうにない。
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