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青野賢一ビームス クリエイティブディレクター / ビームス レコーズ ディレクター「ビームス創造研究所」所属。選曲・DJ業、執筆業。音楽、ファッション、文学、映画、アートを繋ぐ。www.beams.co.jpshop.beams.co.jp/shop/records/blog.beams.co.jp/beams_records/

小径逍遥、再び。

青野賢一
ビームス クリエイティブディレクター / ビームス レコーズ ディレクター

「ビームス創造研究所」所属。選曲・DJ業、執筆業。音楽、ファッション、文学、映画、アートを繋ぐ。
www.beams.co.jp
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No.36 足元から考える

2012.07.19

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数々の異論はあると思うけれど、メンズに限って言えば、
セレクトショップと呼ばれる業態のアイデンティティは、
シューズ選びに止めを刺すのではないだろうか。


靴専門のショップではなかなか難しいコーディネート提案が可能。
ブランドのオンリーショップには到底出来ない品揃えの豊富さ。
こうした点ももちろん挙げられるのだが、
今回着目したいのは、コーディネート、スタイリングという観点からみた
セレクトショップのシューズの特異性と、
そこから発展する「別注」の思想である。




セレクトショップにおけるスタイリング(特にドレス寄りのそれ)
の足元は、トラディショナルなもの、クラシックなものを
組み合わせることが多いように思う。
ミニマルなデザイナーズのスーツには、
英国製のスマートなチャッカブーツや
サイドエラスティックシューズ。
少しデコラティヴなアイテムには、
安定感のある〈ALDEN〉のプレーントウ。
着古したデニムには〈Church's〉
の「フェアフィールド」や「ライダー」。


こうした組合せは、一見とっつきにくそうな
デザイナーズブランドのウエアを、
より身近なものに感じさせてくれるだろうし、
その着こなしを抑制の効いたものにしてくれる。
また、トラディショナルなシューズの新しい側面を
垣間見せてくれることにもなるだろう。
その靴本来の使用目的とは違う組み合わせ方が、
新たな記号を与えてくれるのだ。

ワンブランドだけを取り扱うわけではないセレクトショップは、
当然のことながら、そのセレクション
(場合によってはオリジナルも含む)で個性を表現する。
いろいろなショップが、各々の差別化を行うには、
根本的にはこの部分を外しては考えにくい。
そうした中で、自分たちのショップのスタイルに合うシューズというものも
当然必要になってくるだろう。

そこで、素材や色を変更したり、
ウィメンズにしかないものをメンズにしたり、
あるいは、木型からオリジナルで削ってもらったり、
という「別注」が行われる。
もちろん、別注に至るまでの過程(というか動機)が、
これだけとは思わないが、
各ショップのシューズの品揃えを見ると、
何となくそのショップの傾向を把握することが出来るから、
強ち間違いでもないのでは、というように思う。

もっと言うと、こうしたシューズブランドが定番化しやすいのは、
このような時代性を鑑みた変化があって、
常に陳腐化しないからではないだろうか。
息の長いシューズブランドは、折々で組み合わされるものは変われど、
その着こなしに、そのショップらしさを込めてくれる。


とりとめのない文章になってしまったが、
何にしても「お洒落は足元から」ということか。

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