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蔡俊行フイナム発行人ファッション関係のマーケティング全般に関する仕事が主業務。WEBマガジン「フイナム」の発行主。

代官山通信

蔡俊行
フイナム発行人

ファッション関係のマーケティング全般に関する仕事が主業務。WEBマガジン「フイナム」の発行主。

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ホームの病人

2008.09.01

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 今朝、駅のホームのベンチに横臥する若い女性がいた。エスカレーターを登ってすぐ目に入ったのだが、行儀の悪い若い女だと思い気にしなかった。枝毛ばりばりの茶髪でデニムのミニスカ、レギンスというファッションだからというわけでもないが、最近はなんでもありだ。
電車待ち中、後ろを若い駅員が通り過ぎるのを見た。見るからに入社1~2年の右も左も言葉使いも何もわからなさそうな頼りない若者である。その彼が彼女に何事か声をかけるのをぼーっと見ていたら、女性が起き上がりベンチを離れた。その刹那、今度はうずくまるのである。
ああ、具合が悪かったんだ。
駅員は彼女に声をかけるのだが、体に触れない。というか触ってはいけないものをどうしたものかと思案している様子である。手は何となく空中をさまよい、彼女の肩口に持っていくのだがそこまで。
ついにひと言何か発し、とことこと何処かへ行ってしまった。
あれ?
どうしたものかと思案した。まわりには結構人がいる。
しかし誰も彼女に声をかけないし、かけられない。ぼく自身もそうだ。善人ぶるという風に見られるのもイヤだし、若い女性なのでさらに声をかけづらい。
たぶんホームに居る人全員がそんな心の葛藤を生じさせているようだった。
ぼんやりとこれが外国だったらどうなのだろうと想像してみた。
たぶん日本のやり方とは違うだろう。
駅員からして対応が違うと思う。きっと体を抱えてあげたり、もうすこしスキンシップある対応をしていたはずだ。
そんなことを思っていたら、件の駅員が先輩らしきひとを連れて戻ってきた。先輩は車いすを持ってきている。
ああ、良かった。
ちょうど声をかけようかと思っていた瞬間だった。
あの肩に手をかけようとした新米駅員と彼女の距離。
ほんの10数センチの距離であったが、そこには目に見えない日本の社会が持つ違和の距離が存在していたように思う。
この距離が近寄らない限り、日本の社会は病んだままなのではないかと思った。
逆にこれが大阪だったらどうだろうかとも思う。きっとお節介なおばちゃんが彼女を放っておかなかったはずだ。
いずれにせよ、最近の天気のように都会の社会も変である。
朝からそんなことを考えながら電車に揺られた。

ところで、先週末青山ル・バロンでのフイナムナイト大盛況でありがとう。来てくださった皆さんに感謝です。
結局ぼくは暁光を見る時間まで滞在し、翌日は廃人同様でした。
おかげで昨日の本栖湖10Kマラソンは頭痛を持ったまま走り、最後は失神しそうでした。タイムも凡庸。次回、世田谷のハーフマラソンでリベンジを。

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