紙飛行機で宇宙旅行。 --ものについて。時々酒と、下ネタと。--
Ray and LoveRock
「写真を撮る人」
Ray and LoveRock(れい あんど らぶろっく)写真を撮る人、ファッションエ ディターでもある人。フツウの人ではありますが、生きることはどちらかという と下手です。文章もロックンロールしていければ良いなぁ。「ものや写真、少し はカルチャーのことなんかを書いていきたいですが、お酒のこと、下ネタも好き なんで、お付き合いください」
http://blog.livedoor.jp/rayandloverock/
TAKAHIROMIYASHITA The SoloIst.とバリ島の鳥。
2012.08.01

暑い。もはや熱いくらいの夏である。
こういう暑い日に、ぼくはなんとなくなくなんだけれど、鳥のことを考えてしまう。
もうずいぶん前のことなんだけれど、インドネシアのバリ島に行ったとき、暑さで犬がまったく動かない。もうだれだれで、寝ることもできないくらいぐだぐだしていた。犬だっておそらく「こんなに暑いんだ、やってやれっかい。雪でも降ればよろこんで、庭でも走るけれどさ、こんにゃろ」とか思っていたに違いないけれど。
そんな暑い島、バリ島ではとにかく鳥類が元気だった。炎天下でもシャーと空を駆け巡っている。餌を探して、餌を食べて。他の生物が死にそうになるくらいグータラと動かない中で、孤軍奮闘というか、とにかく空を楽しそうに飛んでいる。
人間はクーラーがあるところでは、それなりに働き、ないところでは、休み休みだらだらな感じで働いていた。
これまた聞き齧った話なのだが、鳥は、特に飛ぶ鳥は体温が高いらしく、だいたい42度くらいらしく、35度くらいでは、わりと平気の平なんだったりするのだろうか。体温が高い動物ほど元気が良いこともあるみたいで、体温の高さが健康ととても関係があるんだなぁと思う。
聞くところによると、バリ島では鳥類が神様のような存在らしく、ウブドゥあたりのアーティストもこぞって鳥類を描くようだ。
こんな具合に鳥類は信仰の対象になっているのだけれど、犬でさえだめだめになってしまう酷暑のバリ島で平然と、むしろ涼しげに飛び回る鳥類が信仰心を刺激するのだろうな、とぼくは想像している。
何でもそうだけれど、自分のできないことができる人――もちろん、人以外であってもそうなんだけれど――って、素直にすごいと思う。それが身近な存在だと、よけいにそう思う。
写真を撮る作業というのは、自分ができないことができる人におんぶに抱っこのような作業なんではないか、なんて思う。
TAKAHIROMIYASHITA The SoloIst.の展示会用に、写真集を作ることになり、写真を撮らせていただいた。まさしく撮らせていただいた。これは、展示会場でしか見られないものなので、招待された方はぜひご覧になってください。
ぼくは宮下くんに対しては、毎度ながら手放しですごいと思ってしまう。今回の服作りも、どう考えても見たことのない、大空に悠々と舞う鳥のように、ひとり服作りの先を歩いている感さえある。
トレンチ、ダッフル、ステンカラー、S/Sでのコートが目を引く。特にステンカラーはアームがディアスキンになっていて、その表情がどこか不良をイメージさてぼくは好きだった。複雑なパターンの中で作られたスーツも唯一無二の出来映えだ。ギンガムチェックを男っぽく使う。ショートパンツも手間のかかることをしっかりとやっていて、それがスーツとして着られる。「大人の不良」はこういうのを着ていてほしいなぁ、と思う。そんなアイテムで会場は埋められいる。
こんな暑い夏なんて、もう来なくていいよ! と思いたくなるのだが、この展示会で見た服は次の夏の楽しみになる。暑い夏に飛ぶ鳥のごとく、ぼくらはこれを着て外に出たくなる。
宮下くんの服が、次の夏を待ち遠しくさせる。