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COLUMN

monessay

文:蔡 俊行

フイナム発行人、フイナム・アンプラグド編集長である蔡 俊行による連載企画「モネッセイ(monessay)」。モノを通したエッセイだから「モネッセイ」、ひねりもなんにもないですが、ウンチクでもないのです。某誌でずいぶん長いこと連載していたコラムが休載し、フイナムにて装いも新たにスタートです。今回は〈dji〉の「MAVIC 2」。

  • Photo_Kengo Shimizu
  • Edit_Ryo Komuta, Rei Kawahara

第三十一回 空飛ぶクルマ

東京オリンピックの第一次チケット抽選でひとつも当たらなかった人に敗者復活戦があるというニュースを聞いて、正直なところ喜んだ。こちら見事に外れたからね。

二次募集的なこの抽選、まだルールは決まっていないようだけど、可能性が出てきただけでも嬉しい。次は当たるといいな。

東京オリンピックの開催が決定してからはや6年。気づいてみたらオリンピックは次のコーナーの先に迫った。国立競技場もおよそ9割完成だというから気分が盛り上がろうってもんだ。

それにしても時間が経つのは早い。もう2020年まであと5ヶ月ちょっと。

漫画『アキラ』が30年以上前に、この年に東京でオリンピックが行われると描いた偶然が重なったのも話題になった。先号のアンプラグドでもそんな記事作ったっけ。

ぼくらの子供の頃というのは2000年代は来ないはずであった。1999年七の月に空から恐怖の大王が降ってくるという、『ノストラダムスの大予言』(五島 勉著)のお告げを信じていたからだ。

いまでは考えられないかもしれないが、これは日本中を巻き込んだ大ブームになった。もしかすると当時の大人は信じてなかったかもだけど、小学生男子の80%以上は間違いなく、自分は30何歳で死ぬんだなと覚悟していもんだ。

五島 勉、罪な男である。というか、マスコミが悪いんだけどね。煽るのはいまも昔も変わらない。

そんな小学生時代、『アキラ』のようなリアリティのある時代背景が登場する前の未来SFというと、最新鋭の飛行船やロケットが飛んでいるような未来だった。人々はスペーススーツのようなものを着て、ビスケットのような万能食品のようなものを食べ、タイヤのない空飛ぶ自動車で移動する。

すべてが新品、ピカピカな明るい未来。

なので『スター・ウォーズ』が公開されたとき、宇宙船がエンジンの煤で汚れているのに頭をガツンと殴られたようだった。

夢に見た携帯電話は、スマートフォンという当時の人たちが想像さえできなかったものに進化したが、まだ見ぬ未来は空飛ぶクルマである。『スター・ウォーズ』にはでているが。

その空飛ぶクルマもどうやらドローンの技術で、実用化寸前まできている。法整備などの面倒な調整が必要だけど、ただ飛ぶだけならいくつかの会社がもう完成まで漕ぎ着けている。

ネットのギーク系ニュースなどでそれらの情報を読んで、youtubeなどで映像も見たことがあるけど、実際どんなもんかあまり想像できない。

しかし今年春、サーフィントリップで波に乗っているところを写真撮ってもらいたいと某友人が言い出し、それならと腕のいいカメラマン用意しますと言って来たのが、ドローンカメラマンなのであった。

ドローンを間近で見るのは初めて。海の上でホバリングし、こちらのタイミングに合わせてものすごいスピードで左右上下に自在に動きながら記録していく。

後で見せてもらった映像を見て、ショックを受けた。あまりにもキレイに撮れているからではなく、あまりにも自分のライディングの情けなさに。へっぴり腰っていうのはこういうことをいうんだろう。自信喪失。

しかしこのドローンの安定感、スピード、操作のしやすさ(自分では触ってないけど、カメラマンが言ってた)を考えると、これが巨大化してクルマ化しても大丈夫だわ。

この欄の撮影時、なんとなく「ドローンよくね?」などと口にした理由がそれだ。目の前でドローン素人がどこまで動かせるのか知りたいじゃん。

担当のRくんは撮影後、社内で軽やかにドローンを操作した。複雑な動きはまだかもだけど、普通にホバリングして動かすことはできる。少し訓練すれば誰でもできるんじゃないかと思わせるくらい進歩している。

まあ、いまのところこれを手に入れて何をやるという目的が見当たらないんだが。

Mavic 2 Pro ¥194,000 inTAX

超高画質の映像撮影ができるコンシューマー向けドローン。一般向けモデルの中では最長という31分間飛行を安定した飛行で楽しむことができる。ドローンに関わる航空法として、空港周辺、150m以上の上空、人口の集中地域、夜間などを飛行させるには、国土交通省への許可が必要。

PROFILE

蔡 俊行
フイナム発行人/フイナム・アンプラグド編集長

マガジンハウス・ポパイのフリー編集者を経て、スタイリストらのマネージメントを行う傍ら、編集/制作を行うプロダクション会社を立ち上げる。2006年、株式会社ライノに社名変更。

INFORMATION

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