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COLUMN

monessay

文:蔡 俊行

フイナム発行人、フイナム・アンプラグド編集長である蔡 俊行による連載企画「モネッセイ(monessay)」。モノを通したエッセイだから「モネッセイ」、ひねりもなんにもないですが、ウンチクでもないのです。今回は〈Super 73〉の電動バイクについて。

  • Text_Toshiyuki Sai
  • Photo_Kengo Shimizu
  • Edit_Ryo Komuta, Rei Kawahara

第三十七回次世代ビークル

東京に暮らしておよそ40年が経つのだけど、生活に関してはそんなに不満はない。手頃な金額で美味しいものが食べられる飲食店はいっぱいあるし、サービスも清潔さも水準が高い。街路はいつもきれいに清掃されているし、治安も悪くない。文句はないどころかどの先進都市に比べてもアドバンテージがある。

しかし、他の先進都市に比べて進取性という面ではすこし遅れをとっているのが、都市の交通問題である。

いや、公共交通に文句を言っているのではない。これなんか世界一といっていいくらいだから不満をいうとバチが当たる。地下鉄はきれいで時間通りだし、バス網もそれこそ蜘蛛の巣状にあちこちに張り巡らされていて、どこにでもいける。

しかし渋滞やそれに起因する排ガスなど環境問題に関する手立てがすこし足りないと感じるのだ。そこが問題。

エコフレンドリーな乗り物として、世界の都市に目を向けると自転車の存在感が高まっているのだが、東京はやっと一部の道で自転車レーンが整備されはじめた程度。しかも道路の脇にブルーで色をつけただけ。幅も狭いうえ、まだルールが徹底してないのか、クルマはそのレーンをリスペクトせず走行していたり、そのレーンをまたいで違法駐車していたりする。

自転車を乗る人達のルールやマナーも問題だ。いちおう車両扱いなので法的にはキープレフトで走らなければならないのに、右側車線の車道を逆走する人も少なくない。信号無視はあたり前。自転車が市民権を得るにはもうすこし時間がかかるようだ。

ニューヨークやパリなどはこの点ですこし先を行ってる。むしろ自転車レーンのせいでクルマが脇へやられているような印象も受ける。どっちがいいのかは、簡単には判断できないが、グレタ・トゥーンベリさんのような次世代の若者からすると自明だろう。

そんな都市ではさらにスタートアップ系の企業がサービスしているシェアな乗り物がいろいろある。代表的なのが電動キックボードのような乗り物。街のいたるところに放置してあって、登録している人はそれを拾って好きな場所へ移動する。そして乗り捨てる。便利っちゃあ便利だが、そこかしこに粗大ゴミのようにそれらが鎮座しているもんだから歩行の邪魔でしょうがない。しかもこれが結構なスピードで走るのだ。しかも道路を逆走したり、歩道を縫うように走ったり。危なっかしいのである。

事故も多いのでどこの都市も規制が入った。あたりまえといえばあたりまえ。

しかしこれルールに則って、うまく利用できればこれほどラクな移動手段もない。

あまりに進取的な取り組みも良し悪しということなんだろうが、知恵を絞って良い着地点を見つけてほしいものだ。

こうしたサービス、日本では警視庁が絶対に許さないので論外である。こういうモーターのついたものはすべて軽車両扱いになるので、保安装置、つまりウインカーやブレーキランプ、そしてナンバープレートをつけなくてはならない。しかも原動機付自転車扱いなので、ヘルメットを着用しないと道交法違反だ。

日本でもこんな次世代ビークルのスタートアップ企業も出てきているようだが、頭の固い警察とどこまで交渉できるのだろうか。ロビー活動次第ということなんだろうけど、あまり明るくはなさそうだ。

世界にはいろんなイノベーターがいて、いろんな乗り物を日々研究、発表、製造している。電動モーター付のスケートボードやら、モーター付の自転車など。これらも日本で公道を走るには、かなりのハードルを越えなければならない。

電動アシスト付自転車がギリである。

次世代の乗り物の法整備が進めば、もっと暮らしやすい街になりそうなんだがな、東京。

¥350,000+TAX

1970年代に南カリフォルニアで人気を博したミニバイクがデザインモチーフになっている〈Super 73〉からモデル「SG1」。凸凹な山道や波打ち際の砂浜など、悪路を走ることもできるタフなスペックと、ワイルドな面構えが魅力的な電動バイク。

PROFILE

蔡 俊行
フイナム発行人/フイナム・アンプラグド編集長

マガジンハウス・ポパイのフリー編集者を経て、スタイリストらのマネージメントを行う傍ら、編集/制作を行うプロダクション会社を立ち上げる。2006年、株式会社ライノに社名変更。

INFORMATION

株式会社レガリス

電話:03-6809-7630
super73.jp

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