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COLUMN

monessay

文:蔡 俊行

フイナム発行人、フイナム・アンプラグド編集長である蔡 俊行による連載企画「モネッセイ(monessay)」。モノを通したエッセイだから「モネッセイ」、ひねりもなんにもないですが、ウンチクでもないのです。今回は〈ダイワ ピア39〉のショーツ。

第四十九回ノンシャラン

着飾る、という行為をしなくなってずいぶんたつ。若い頃はそれはファッションが好きで、服ばかり見に行ったり買っていた。新品でも古着でも。収入のほとんどをそれらにつぎ込んだと言ってもいい。たぶんここを読みにきてくれるみなさんも現在、あるいはかつてそういう時期があっただろう。

スカーフや手袋などのアクセサリーもかなりの数だったし、靴に至ってはイメルダ・マルコスにもひけをとらない。スニーカーに造詣の深い友人でライターのM氏のように別にアパート2軒借りるほどではないが、下駄箱からはみ出たシューズが部屋のあちこちの箱に積まれていた。

こんな風に過去形で書くといまではファッションはどうでもいいみたいだが、そうではない。いまに比較して以前の熱量が圧倒的だったということ。くすぶってはいるものの、いまでもファッションに対する火は消えてない。

ぼくらが若かったころは、いまのようにお店はなかったし、男のおしゃれに対して社会はあまり好意的には見ていなかった。封建的で男尊女卑の考えがまだ社会に残っていたのだ。そんな時代に風穴を開けた先輩たちの話もしたいが、それをするとスペースが足らなくなるので、またいずれ。

そんな時代、おしゃれというのは何かひとつ加えることだった。色気づき始めた中学や高校の頃、スカーフなぞしようものなら親戚のおばさんに「トシくん、おしゃれねえ」なんてからかわれたものだ。

Tシャツにバンダナやスカーフを上手に巻いている人を見るといいなと思う。帽子やアクセサリーをうまく使う人もそう。スタイリングも含め、ただ服を着る行為に何かしらの工夫をする人が真のおしゃれ人なんだと思う。

いつ頃からか、ぼくはその反対を行くようになった。無頓着に見えるようでいて実は計算している的な。気にしてないけど、気にしてる。何を言ってるかわからなくなってきたがそういうことだ。

引き算とかもうそういうものではなく、必要最低限のものだけ身につけてスタイルができることがヒップだとさえ考え、その道を進んでいる。

しかし以前、デザイナーをしている仲のいい友人に、もう少し着るものに気を使ったほうがいいよと言われた時はちょっとショックだった。確かにヨレヨレのTシャツに半パン、ビーサンだったかもしれない。自分自身、確かにそれをおしゃれだと狙ってやっていたのではない。習慣でただ着ていただけ。

無頓着に見える高度なスタイリングが、気づくといつの間にかだらしないスタイルになっていた。よかったよ、教えてくれて。

以来、少しはマシなかっこをしているつもり。決して人からおしゃれとは言われないが、いちおうファッション関係の仕事をしている人からは仲間入りをスレスレで認められるくらい。一般の人からはファッション関係だとバレたことがないのが、少し心配だが。

そんなおしゃれ度の暮らしを送っている自分であるが、シーズン毎に今度こそはとお店に行くのであるが、あれこれアイテムを見ながらこれらを着るのかと考えると、なんとなく気恥ずかしくなってしまう。いつの間にかおしゃれに免疫ができてしまっているようだ。というわけで元の黙阿弥。

そもそも自分のおしゃれの最終解脱地点が裸足で暮らすことというのが間違っているのかもしれない。裸足といっても文字通りではなく、靴下を履かないで暮らす生活ということだ。暖かい南の島とかでね。

しかし誤解されないようにそれなりなアイテムを手に入れなくてはならない。

何かいいもの、ないかなあ。

¥14,500+TAX

今春デビューしたフィッシングタックル〈ダイワ〉によるライフスタイルライン 〈ダイワ ピア39〉。柔らかな風合いで軽量ながら、摩耗性・ストレッチ性に優れた20Dのマイクロリップナイロン素材を採用。内側にはメッシュ素材を配し、湿っぽい環境下でもベタつきを感じにくく、衣服内をドライに保つ。急な天候変化にも対応できる撥水加工を施している。

PROFILE

蔡 俊行
フイナム発行人/フイナム・アンプラグド編集長

フリー編集者を経て、スタイリストらのマネージメントを行う傍ら、編集/制作を行うプロダクション会社を立ち上げる。2006年、株式会社ライノに社名変更。

INFORMATION

DAIWA
(グローブライド(株)お客様センター)

電話:0120-506-204

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