CLOSE
COLUMN

How to see -モノの見方-

文:郷古隆洋

普段どうやって買い物をしていますか。ネットで情報を集め、比較しながら吟味を重ね、モノを買うのが当たり前になっていませんか。例えば蚤の市で見つけたライトやオブジェのような、世界にひとつの存在感で暮らしに彩りを与えてくれるようなモノ。衝動買いがいいとは言いませんが、もう少し自分の感性や気持ちに忠実にものを買うのもいいかもしれません。ここでは、世界各国から集められたインテリア雑貨をはじめ、ヴィンテージアイテム、工芸品、郷土玩具など、ジャンルや年代、地域を限定せず、独自の感性で蒐集している郷古さんに、モノの見方や楽しみ方を教えてもらいます。

Vol.6 練り上げという宇宙。

この美しく大きな鉢は直径55センチあるとても大きなものです。作家の名前は広島県の福山で窯を構える掛谷康樹さん。

そして、この独特な柄は、釉薬や絵付けではなく「練り上げ」という技法によるものです。もちろんただでさえロクロを挽いて、この大きさのモノを作ることは簡単なことではないのですが、この手法で作るとなると、破損やキズのリスクもあったりと、気を使う製作過程などを考えると、ちょっと頭が下がるというか、緻密さや精密さは計り知れません。

その「練り上げ」というやり方は違う色の土を重ねたり練り込み、それをカットして、型で成形するというもの。金太郎飴に例えると想像ができるかもしれません。まあ口で言うのは簡単ですが、少しでもくっつきが悪いまま焼いてしまうと、割れやねじれが生じ、商品にはならなくなってしまいます。しかもひとつでも破損が生じると、そのロットで作ったものは同じところに問題を起こすことになるそうです。

それがこの大きさですから、僕にとっては見た目的にも軽く宇宙に見えてきます。

そんな作る姿や人柄を想像することから見てみると、またモノが愛おしくなったり違う角度で見えてくるのです。

それゆえに、これは僕の宝物なのです。

PROFILE

郷古隆洋
Swimsuit Department 代表

ユナイテッドアローズ、ランドスケーププロダクツを経て2010年に Swimsuit Department を設立。輸入代理店をはじめ、世界各国で買い付けたヴィンテージ雑貨などを販売する BATHHOUSE も運営のほか、店舗のインテリアコーディネートやディスプレーなども手がけています。2015年9月には、日本で初の開催となるモダニズムショーを主宰。
http://swimsuit-department.com

連載記事#How to see -モノの見方-

もっと見る