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COLUMN

How to see -モノの見方-

文:郷古隆洋

普段どうやって買い物をしていますか。ネットで情報を集め、比較しながら吟味を重ね、モノを買うのが当たり前になっていませんか。例えば蚤の市で見つけたライトやオブジェのような、世界にひとつの存在感で暮らしに彩りを与えてくれるようなモノ。衝動買いがいいとは言いませんが、もう少し自分の感性や気持ちに忠実にものを買うのもいいかもしれません。ここでは、世界各国から集められたインテリア雑貨をはじめ、ヴィンテージアイテム、工芸品、郷土玩具など、ジャンルや年代、地域を限定せず、独自の感性で蒐集している郷古さんに、モノの見方や楽しみ方を教えてもらいます。

vol.21 日本の竹製品のこと。

数年前から竹の工芸品の危機を耳にするようになりました。担い手、作り手の減少や質の良い竹が取れないことが要因だと言います。

竹製品は油分も多く繊維も強いため、しっかりと使えば100年は持つと言われています。もちろん日本でも、竹は全国的に自生していることもあり、各地で良質の籠などの竹製品を見ることがありました。

近年でも先に書いた理由により、このような良い工芸品が数を減らしています。数年前には買えたものが、姿を消してしまったものも多くあるのです。例えばイサム・ノグチの照明シリーズのAKARIにも、竹の支柱を使ったBBシリーズというフロアライトがありますが、こちらも現在では細くて真っ直ぐな竹材が採れないため生産が中止されていたりもするほどです。

しかし現在でもまだまだ美しい竹製品は存在したり、新たな作り手によって復刻を成し遂げたものもあったりします。旅先で探すも良し、帰省の際に地元をしっかりと見回すも良し、そんな物を探す行為も楽しいものです。

どうぞ一度手元に置いて、竹製品の素晴らしさを実感してみてください。まずは買うことが、その工芸を残す一歩だと思うのです。竹籠だって女性だけのものではありません。男性の方もぜひ扉を開いてみてほしいのです。

広島の目籠

大分のスツール

子供用のロッキングチェア

魚籠

PROFILE

郷古隆洋
Swimsuit Department 代表

ユナイテッドアローズ、ランドスケーププロダクツを経て2010年に Swimsuit Department を設立。輸入代理店をはじめ、世界各国で買い付けたヴィンテージ雑貨などを販売する BATHHOUSE も運営のほか、店舗のインテリアコーディネートやディスプレーなども手がけています。2015年9月には、日本で初の開催となるモダニズムショーを主宰。
http://swimsuit-department.com

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