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COLUMN

monessay

文:蔡 俊行

フイナム発行人、フイナム・アンプラグド編集長である蔡 俊行による連載企画「モネッセイ(monessay)」。モノを通したエッセイだから「モネッセイ」、ひねりもなんにもないですが、ウンチクでもないのです。今回は〈レイバン〉のサングラス。

第五十一回マスクをするサル

諸説あるがおおよそ1万3000年の最後の氷河期の終わりから、われらホモサピエンスは狩猟採集生活から定住にシフトし、農耕生活をするようになったと言われている。すでにほぼすべての大陸に足跡は伸び、それぞれの地で、おとなしい動物を家畜にしたり、栽培する植物の数を広げていった。

ジャレド・ダイヤモンドの『銃・病原菌・鉄』によるとメソポタミアあたりで起こった定住農耕生活は同緯度方向、つまり東西に広がり発展し、その地域で生活する個体たちが家畜由来の感染症の大きな犠牲を乗り越え、耐性力を高めていった。

こうした暮らしが気候の変化の差が大きい南北に広がらなかったのが、のちにアフリカや南アメリカのディスアドバンテージとなり、特に新大陸の欧州人の征服は、病原菌によってもたらされることになる。

コロナの猛威にさらされるいまの人類を見ながら、この本をナナメに読み返している。

グローバル化した現代は、誰もがほぼ同時にウイルスに冒される可能性がある。

人類生存のための三大脅威は、飢え、戦争、疫病だ。それこそサピエンス全史を書いたユヴァル・ノア・ハラリは続くホモデウスで、人類はそれら三大脅威を克服し神(デウス)の領域にアップグレードすると説いたが、そうは世の中甘くなかった。

戦争はまだテロなどに形を変えて世界の一部で継続中だし、人を直接殺傷する武器から経済という手段で続いている。人類がいまのところ唯一克服したのは飢えだけだ。しかしこの幸せもいつまで安定的に享受できるかわからない。

閑話休題。

コロナ騒動に追われたこの4月だが振り返ってみると比較的寒く、朝夕は暖房を入れる日も少なくなかった。そのため体調調整が難しく喉が少しひりつくたびに、ドキドキしたものだ。暖かい冬から寒い春。しかし5月になってにわかに太陽が勢いを増してきた。

と同時に紫外線も強くなってきた。陽の下に数時間いるだけで肌が真っ赤になる。

原則外出してはいけないのではあるが、健康維持のために近くを散歩するのは許してもらおう。マスクはマストだが、サングラスも欲しくなる時期でもある。両方をつけると怪しい風体になりそうだが、昨今の状況からするとそれも許されるだろう。むしろ眼鏡をかけた方が、感染予防にもなりそうでもある。

ちなみにサングラス、この時期の外国人は子供でもかけている。それは青い目をしているヨーロッパ人は虹彩の色が薄いため目が光に弱いからだ。彼らの家の室内や、向こうのレストランの照明が暗いのも、我らモンゴロイドに比べ、彼らコケイジャンは光に敏感だからである。

ホモサピエンスは数万年かけて環境に合わせて皮膚の色や目を色を順応させて進化してきたが、それでも対応できないことに対してはこのような道具を発明し、対応してきた。道具を持つサルとして。

そして21世紀、人類はまた新しい道具を活用している。

我々はついにホモマスクに進化したのである。

ORIGINAL WAYFARER CLASSIC(JPフィット)¥21,800+TAX

サングラスのヒストリーのなかで最もメジャーなアイウェアのひとつ。1952年の誕生以来、セレブリティやミュージシャン、アーティストやファッショニスタによって愛され続け、サングラスのアイコン的存在となっています。ブラックフレーム、クリスタルグリーンレンズやクリスタルグレーグラデーションレンズ、G-15偏光レンズなどから選択可能。

PROFILE

蔡 俊行
フイナム発行人/フイナム・アンプラグド編集長

フリー編集者を経て、スタイリストらのマネージメントを行う傍ら、編集/制作を行うプロダクション会社を立ち上げる。2006年、株式会社ライノに社名変更。

INFORMATION

ルックスオティカジャパン
カスタマーサービス

電話:03-3514-2950

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