Vol.7 ピーター・シャイアのこと。
ピーター・シャイア(Peter Shire)はロサンゼルスを拠点に活躍するアーティストです。陶芸を中心としたその作風は、今年73歳とは思えない、見る者を楽しませてくれるモノばかりです。80年代にはイタリアの伝説的なデザインチームであったMemphisに所属し、ポストモダンのムーブメントを引率していたメンバーのひとりでもありました。
そんなピーターとの出会いは7年くらい前のこと。もちろん彼の功績は知っていましたが、ロサンゼルスの知人から紹介されスタジオを訪れてから、僕の中のスイッチが入っていくことになったのです。
正直それまでの彼らの作品の印象は、派手で手元には置いておくにはちょっと…、という感じでした。ただ彼に直接会い、ピーターの人柄や世界観を目の当たりにし、手に取ってみるとすんなりと受け入れられて、取り扱いを始めることを決めるまで、まったく時間は必要ありませんでした。
それは僕が見てきたテーブルウェアで、こんなに生活を楽しくしてくれるものは、今までないものでした。特にマグカップに関しては、朝のコーヒーを淹れるという楽しさを教えてくれたり、習慣付かせてくれたりと、普段の生活を変えさせるものでした。朝の日の光の中で使うそれはまた格別で、1日のスタートを心地よくしてくれるのです。
作り手に会うという行為も、またモノの見え方を変えてくれるものです。人柄を感じて作品を手にしたり、手にして人柄に触れてみるのも、モノを愛していく上でとても大切な行為だと思います。



PROFILE

ユナイテッドアローズ、ランドスケーププロダクツを経て2010年に Swimsuit Department を設立。輸入代理店をはじめ、世界各国で買い付けたヴィンテージ雑貨などを販売する BATHHOUSE も運営のほか、店舗のインテリアコーディネートやディスプレーなども手がけています。2015年9月には、日本で初の開催となるモダニズムショーを主宰。
http://swimsuit-department.com