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COLUMN

How to see -モノの見方-

文:郷古隆洋

普段どうやって買い物をしていますか。ネットで情報を集め、比較しながら吟味を重ね、モノを買うのが当たり前になっていませんか。例えば蚤の市で見つけたライトやオブジェのような、世界にひとつの存在感で暮らしに彩りを与えてくれるようなモノ。衝動買いがいいとは言いませんが、もう少し自分の感性や気持ちに忠実にものを買うのもいいかもしれません。ここでは、世界各国から集められたインテリア雑貨をはじめ、ヴィンテージアイテム、工芸品、郷土玩具など、ジャンルや年代、地域を限定せず、独自の感性で蒐集している郷古さんに、モノの見方や楽しみ方を教えてもらいます。

Vol.8 床の楽しさ。

床の楽しさを知ったのは、実はここ3年くらいのことでした。意外と床材は色々な種類があるのに、普段はなかなか目がいかず、何気に過ごしてしまっていることが多いのです。

僕が初めに床について興味を持ったのは、7年ほど前にリニューアルをしたLAの空港でのことでした。セキュリティチェックに並んでいたときに、ふと目線を床にやると、その床材の鮮やかさにハッとしたのです。それは「Terrazzo(テラゾー)」と言われる人造大理石で、細かく砕いた石材やガラスを白色のセメントに混ぜて固め、その後研磨し大理石のように仕上げたものだったのです。

それから床材を見ることが癖になり、インテリアの仕事をいただくと、床をどう楽しく見せるかを考えるほどでした。もちろん素材はテラゾーだけではなく、それを模したビニールシートなどもあり、意外と扱いやすく、内装などに取り入れやすかったりするのです。後に挙げたビニールシートで言えば、学校や病院、それに電車車両などの公共の場所で多く使われており、その耐久性や耐水性など機能面、また色や柄の展開のしやすさなどもあって、様々なものを目にするのです。

最近は大江戸線や東京モノレールなどの、比較的近年にできたりリニューアルをした場所で床を散策するのが楽しみに。でももちろん古い人造大理石などの歴史を感じる床も重量感があっていいものです。

街中には、こんなテラゾーやビニールのシートが多く使われていて、その色の組み合わせや柄にハッとさせられるのではないでしょうか。きっと今までもそこにあったのに気がついていなかったことに気がつくのではないでしょうか。

携帯ばっかりいじってないで、床を見ながら散策するのも楽しいですよ。

LAの空港

モノレールの床

先日完成した太宰府のゲストハウス

大江戸線の床

PROFILE

郷古隆洋
Swimsuit Department 代表

ユナイテッドアローズ、ランドスケーププロダクツを経て2010年に Swimsuit Department を設立。輸入代理店をはじめ、世界各国で買い付けたヴィンテージ雑貨などを販売する BATHHOUSE も運営のほか、店舗のインテリアコーディネートやディスプレーなども手がけています。2015年9月には、日本で初の開催となるモダニズムショーを主宰。
http://swimsuit-department.com

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