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COLUMN

How to see -モノの見方-

文:郷古隆洋

普段どうやって買い物をしていますか。ネットで情報を集め、比較しながら吟味を重ね、モノを買うのが当たり前になっていませんか。例えば蚤の市で見つけたライトやオブジェのような、世界にひとつの存在感で暮らしに彩りを与えてくれるようなモノ。衝動買いがいいとは言いませんが、もう少し自分の感性や気持ちに忠実にものを買うのもいいかもしれません。ここでは、世界各国から集められたインテリア雑貨をはじめ、ヴィンテージアイテム、工芸品、郷土玩具など、ジャンルや年代、地域を限定せず、独自の感性で蒐集している郷古さんに、モノの見方や楽しみ方を教えてもらいます。

Vol.10 ルノーのアヴァンタイム。

それほど車には詳しくないのですが、仕事柄、荷物を運ぶことが多く、社用車として乗っている車があります。2002年の発売当初から、なぜか僕は「乗るなら絶対にこの車!」と決めていて、独立後、迷うことなく入手しました。

その車は〈ルノー(RENAULT)〉のアヴァンタイムと言い、ご覧の通り、ちょっとアバンギャルドなデザインが目を引きます。デザインはパトリック・ルケマンによるもので、ミニバンにして3ドアクーペであり、カブリオレの要素も持ち合わせる斬新な車です。

この車について話し始めるとかなり長くなってしまうので、外見だけについて触れてみようと思います。

僕が特に好きなのはリア周りのデザインで、船のようでもあり他の車にはない変わった形をしています。そしてヒンジのついた大きなドア周りにはピラ(ボディの柱)がないので、すべてのガラスを下げると大きな開放感と外観がなんとも言えないのです。さらに天井は大きなガラスのサンルーフになっているので、すべて開けるとカブリオレのような姿に変わります。しかもそれを一斉に開放できるボタンがあり、それを押した時の爽快感たるや、ちょっと癖になってしまうほど。

まだまだ話すところは多いのですが、とにかくこんな斬新な車はしばらく出てこないと思います。現代の最新技術を持つ国産車もいいですが、どうもデザインの部分で乗りたいと思うものがないのが本音です。もっと自由に車もデザインをできたらいいのになと日々感じるのです。

窓ガラス通常時

窓ガラス開放時

PROFILE

郷古隆洋
Swimsuit Department 代表

ユナイテッドアローズ、ランドスケーププロダクツを経て2010年に Swimsuit Department を設立。輸入代理店をはじめ、世界各国で買い付けたヴィンテージ雑貨などを販売する BATHHOUSE も運営のほか、店舗のインテリアコーディネートやディスプレーなども手がけています。2015年9月には、日本で初の開催となるモダニズムショーを主宰。
http://swimsuit-department.com

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