Vol.12 タピオ・ヴィルッカラの木製品。
僕がいちばん好きな北欧のデザイナーは? と聞かれたら、答えるのはフィンランドのタピオ・ヴィルッカラです。その活躍はガラス製品からケチャップのボトルなどの工業製品までと多岐に渡ります。
ガラスメーカーである「イッタラ」でもたくさんのアート作品や製品のデザインを残していますが、僕が彼の作品でいちばん魅了されたのは積層の木材を使った作品群でした。
それは北欧ではポピュラーな木材であるフィンランドバーチ(白樺)を用いた合板から作られており、その接着面の色の違いを葉の葉脈などに見立てたり、年輪のような表情を持たせたものなのです。見ていてうっとりとしてしまう美しさを持っており、何時間でも見ていられるほど。
ボウルが美しいのはもちろんのこと、テーブルの天板についてはどう作っているのか、全く理解できません。波打たせたように接着をして断面を使っているのか、板状のものから曲がった刃で削り出しているのか…
いずれにしても箱根の寄木細工のように、表面を鉋のようなもので薄く挽いているのは確かなようです。しかもタピオは削った際に出てくるこれらの柄を、頭の中で計算できたそう。
自然界からインスピレーションを受けているタピオらしい作品でもあり、フィンランドバーチ特有の経年の変化で飴色になったその姿は、一層その魅力に拍車をかけるのです。




PROFILE

ユナイテッドアローズ、ランドスケーププロダクツを経て2010年に Swimsuit Department を設立。輸入代理店をはじめ、世界各国で買い付けたヴィンテージ雑貨などを販売する BATHHOUSE も運営のほか、店舗のインテリアコーディネートやディスプレーなども手がけています。2015年9月には、日本で初の開催となるモダニズムショーを主宰。
http://swimsuit-department.com