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金子恵治とイタリア。25年の時を経てみる、現地の“いま”。第2回:アンファッションとファッション。
Supported by Felisi

Keiji Kaneko and Italy: A Look at the Country “Today,” 25 Years Later.
第2回:アンファッションとファッション。

ぼくらはイタリアについて、どれほどのことを知っているだろう? 身近なのはファッションや料理だけど、彼の地でどんな文化が育まれ、人々がどんな日常を送り、どんな瞬間に笑顔になるのかは、案外知りません。 そんなイタリアについて、「いま、いちばん気になる国なんです」と話すのは、ファッションディレクターの金子恵治さん。バッグブランド〈フェリージ(Felisi)〉の日本のコンセプターとなった彼に、約25年ぶりに訪れた現地の“いま”をたっぷりと語ってもらいましょう。全5回からなる連載企画。第2回は、「ピッティ・イマージネ・ウオモ (Pitti Immagine Uomo)」を通して浮かび上がってきた、日本とイタリアにおけるファッション文化の違いを考察します。

PITTIは着こなしが軽い。だからわかりやすい。

PITTIの会場では「とにかく写真を撮りまくった」という金子さん。ファッションディレクターとして、どんなスタイルを切り取ったのでしょう。そこに、これからの着こなしを考える上でのヒントが隠されているはずです。

ーPITTIで金子さんが気になったひとや着こなしなどはありますか?

Kaneko:会場にはいろんなひとがいたのですが、気づけば地味めなひとたちばかりをファインダーに収めていました。すごくかっこよく着飾っているひともいたんですが、ぼくにはちょっと華やかすぎた。それよりももっと普通で、だけど確実に気を使っているのがわかるひとが気になりました。有名なフォトグラファーたちは、やっぱり斬新さや派手さを求めてシャッターを切っていたんですが、ぼくが気になったのは、そうではないリアルなスタイルを持ったひとたちなんです。

ーそこに金子さんらしい視点を感じます。写真を見ていて、トラッドなんだけど上手にはずしているひとたちが多いように感じました。

Kaneko:そうですね。王道的な着こなしが多いんだけど、その中でキャラクター性が滲み出ているひとがたくさんいるんです。ただ、そのはずし方というのが、日本にいるぼくたちとは全然違う。

ーどう違うんですか?

Kaneko:日本のメンズファッションは、たくさんの知識を得て、その文脈の上でどう着こなすかを楽しんでいるような気がします。でも、PITTIにいるひとたちはもっと軽いんです。だからすごく明快でわかりやすい。

ーなるほど。着こなしのストーリーよりも、「ファッションとしてかっこいいかどうか」のほうが重要であると。

Kaneko:そうなんです。考え方がシンプルだし、もっと感覚的というか、開き直っているんですよね。スラックスにスニーカーを合わせるにしても、単にそれだけで、そこに蘊蓄とかは一切ないんですよ。

ー日本のメンズファッションに立ち返ると、“アメリカンカジュアル”というものが輸入されて、それを楽しむ上での日本独自のルールが形成されていったように感じます。

Kaneko:日本だと「白Tにデニム」といったように、型のようなものがいくつもありますもんね。でもPITTIでは、全身アメトラなひとたちも多いんですが、もっと気持ちがライトで、その自由さがいいなと思って。「これを着たいから、着る」っていうシンプルさが、もっと広まればいいですよね。

ー具体的に気になるスタイルってありましたか?

Kaneko:インスタに写真をアップしていて、いちばん反響があったのが、このポストなんです。

ー白パンにローファーというシンプルなスタイルですが、適当な感じがむしろかっこいいというか。

Kaneko:夏はスリッポン系のシューズを履いているひとたちが多かったですね。季節に対する意識がめちゃくちゃ高い。ちょっと前のぼくだったら、夏でもブーツって言い出しかねないのに(笑)。

ー長袖を着てても、足元に涼しさを感じます。

Kaneko:ヨーロッパって夏が短いから、思い切り楽しみたいっていう気持ちを感じます。それがファッションにも現れているというか。

ー日本の夏は湿度も高いから、どちらかというと快適な方向に走りがちですよね。

Kaneko:機能素材であふれてますよね。たしかにヨーロッパだと、あまり見かけないかも。スポーツの文脈ではもちろんあるんでしょうけど。たとえばフィレンツェでは、リネンのシャツを着て、夏っぽい素材を用いてファッションを楽しんでいるひとも多く見かけました。

ー天然の機能素材なんですよね、リネンも。

Kaneko: 「リネンはケアに気を遣う」という声をよく耳にします。たしかにコットンなどに比べてケアは必要ですが、ラクすることばかりが先行してしまうと、どうしてもスタイルとしての魅力が薄れてしまうように感じます。

基本に立ち返ると、天然繊維が生み出す機能や風合いって、お洒落の大事な要素だよなと、いま改めて感じますね。

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