ひと皿の上で釣りを表現。
そして、「ペペロッソ」ではあまりなじみのなかったカマスは、3品に仕立ててくれました。
1品目は「マリネ」。皮に炭を当てて炙り、パルミジャーノを溶かしたミルクと生アーモンドのソースをかけています。今日見たイワシのナブラからヒントを得て、イワシの魚醤も使っているそうです。仕上げに、ミントとエストラゴンを散らし、西洋わさびでアクセントを。
今井:魚とミルクとチーズの組み合わせは、北イタリアの定番料理。カマスも小さいイワシを食べているんじゃないかと思い、魚醤を使用しました。今日は7連のサビキで7匹のカマスを釣ったので、ひと皿に7匹を盛り付けています。
パンを発酵させてつくった特別な衣で揚げ、炭火で軽く炙っています。ワイン用ブドウの搾り汁を煮詰めたイタリアの調味料、モスト・コットで濃厚な甘みとコクを加えました。
今井:イタリア発祥の「フリット」。揚げたあとに炭で炙ることで、余分な油を落としつつ、炭火の香りを移しています。
3品目は、アカハタのお腹にカマスの塩焼きを入れ、オーブンで蒸し焼きに。味つけは塩だけで、2種類の魚の旨みを感じられます。かなり自由な発想で仕立てられた、斬新なひと皿です。カマスの塩焼きは上下から炭で炙るオリジナルの手法、挟炭焼きで仕上げました。ちなみに、使用している炭は紀州備長炭で大変貴重なもの。
今井:ぼくたちが最近取り組んでいる釣法転写。その魚をどうやって釣ったのか、ひと皿の上で表現するんです。今日はカマスを生き餌にした落とし込みでアカハタが釣れたので、それを料理で再現しました。なかに野菜を詰めてもよかったですが、まずはシンプルにカマスだけを入れています。
食材となる魚だけではなく、その日の釣り全部が料理になりました。確かな技術に加え、このような遊び心あるクリエイティビティで「ペペロッソ」の料理が完成するのです。
今井:日本の海の豊かさは世界に誇れるし、伝統的に魚料理を食べてきた歴史がある。自分で釣った魚を料理するということは、その文化をより深く感じられるはずです。私自身、和と洋を組み合わせた新しい調理法を考えたり、誰もやっていない手法を取り入れたりするのが好きで、自由に食材の味を引き出せるのも料理の魅力だと思います。
Mihara:この魚はこういう味だと思っていても、実際に釣った魚は味わいが違ったりするので、いろんな調理法で試してみるのはおもしろいです。生のカマスは水分が多くて淡白な味、とネットの情報がありましたが、食べてみるとその印象とは違い、甘みがあっておいしかったです。
阿久津:今回の料理であえてひとつ挙げるなら、カマスの「フリット」がお気に入り。揚げているけど炭火の香りがして、カマスの旨みも強く感じられました。塩焼きや干物のイメージが強いカマスを初めて生で食べましたが、想像以上においしくて、イメージが変わりましたよ。
本郷:カマスの「マリネ」は、ミルクのソースや西洋わさびで食べたことのない味に仕上がりました。カマスは和食の印象が強いですが、イタリアンにも合うことを知れてよかったです。