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Extreme Sauna Trip Korean style in the great Miyagi and a secret cave found in Fukushima. Sauna Trip 2021 Autumn Vol.2
MONTHLY JOURNAL Oct. 2021

Extreme Sauna Trip Korean style in the great Miyagi and a secret cave found in Fukushima. Sauna Trip 2021 Autumn Vol.2

I want to travel. My patience is at the end of its rope. When the Corona settles down, I want to fly away like a dog released from its leash. So where to go? It is more fun to have a clear goal than to travel aimlessly. The answer we came up with was a trip to visit saunas in the Tohoku region, known as a "sa travel. We did some research beforehand and found that saunas in Tohoku are not well known, but we were more curious about the saunas in Tohoku. So, let's go to a sauna that is unique to Tohoku. This is a record of my "Sa-Travel" expedition, which took me to a total of five saunas in two days and one night, covering a total distance of more than 1,000 km.

どこにもない、魔サウナとはこのことだ。

発達

福島県南相馬市原町区本町3−21
hattatsu.jp/
料金:¥23,800(5時間利用、一棟貸切の場合)

「サウナイキタイ」。言わずと知れたサウナのレビューサイトだ。サウナ室や水風呂の温度、外気浴の有無、体験者の感想まで書き込まれているため、初めていくエリアでサウナを探すときに、ものすごく頼りになる。「え、こんなところも?」と驚くほど、ごく小規模なサウナでもレビューが載っていることが多い。

入り口に置かれた「発達くん人形」は、我々の謎をますます深める。

だが、この旅の最後に訪れたサウナ「発達」は、2021年10月初旬時点でのレビュー数はゼロ。このネットワーク社会において、情報がないことの不安たるや。

シバヤマよ、本当に本当に大丈夫なのか…。そんなことを思いつつ、南相馬市を訪れた。

左から熱波師の熱風(ねつかぜ)さん、オーナーの川口さん。

水風呂は岩造り。その横には外気浴まで辿り着けない人のために畳スペースも用意されている。

サウナ室と水風呂を繋ぐ前室。

トイレももれなくクセ強めだ。

ここのサウナを見るや否や、頭に「?」がいっぱい浮かぶ。ネオン輝く洞窟型サウナ、水風呂横の無数のお面、元力士の熱波師、壁一面にマンガのワンシーンが張り巡らされたトイレ… どこの施設でも見たことがない。何かを参考につくった感じが全くしない。磁場が狂ったかのようだ。

まずは一番気になる「発達」って何ですか? とオーナーの川口さんに聞いてみると「ととのう」の先の概念という答えだった。

頭の「?」は全く解消されずに、話は続く。川口さんは、昔、芸人を目指し舞台に上がっていた。しかしある時から、不特定多数の誰かではなく、自分の周りにいる人たちを笑顔することが幸せであるということに気づく。それが彼の人生観を変えるターニングポイントになった。

川口さんの生き方は、スティーブ・ジョブズの「これまでの自分の経験が点と点で繋がり、自然と線になっていく(かなりはしょってます)」という伝説のスピーチの逆を行くかのようだった。無理やりにでも点をつくるべく、あえて一年にひとつ、自分が全く知らないことを始めるといったマイルールを決めているという。

例えば一年目には、水割りすらも知らぬまま居酒屋を始め、日本酒を水で割ったものを客に出し、頭をはたかれたこともあったそう。それくらい“DO IT YOURSELF”精神にあふれているのだ。

「発達」の隣には、同じくアースバック工法を用いて建設中の小屋が。

小屋は宿泊施設になる予定で、薄暗いなかライトを照らし日夜作業が行われている。

そんなこんなで、ある年、熊本へリーズナブルな建築工法を学びに行った。それが、「発達」にも用いられたアースバック工法。ヒッピーをはじめとするオルタナティブな人たちの間で知られ、地球に優しい土や粘土を材料に、近代的な建築技術を組み合わせるという斬新な発想で生まれた手法だ。そして同じ熊本にある「湯らっくす」でサウナの洗礼を受けて感化された川口さんは、地元の南相馬市に戻る。

オリジナルのサウナをつくろうと思いアースバック工法について深掘りすると、土壁は遠赤外線効果がケタ違いに高く、サウナに適していることを知る。それが、点と点が線になり、洞窟サウナが誕生した瞬間だった。

そんな偶然の産物でできた洞窟サウナを体験させてもらうと、「?」は「!」に変わった。正確に言えば、「?」なぞどうでもいい。“考えるより、感じろ”というありきたりのことばが脳内に響きわたるのだった。通常のサウナでは味わえない高温ぶり。とはいえ、温度のことなど考えるな、感じろ。時計も気にするな、我慢できるところまでいろ、という自分の限界を見つめ直すことになる。ひょっとしたらサウナの原点はここにあるのかもしれない… そんな気にさせてくれる。サウナ後の仮面に見られての水風呂、デッキで満点の星を見上げながらの外気浴を経ると、まさに「発達」としか言いようがない。脳がとろけるような感覚に陥る。

ちなみに、川口さんの破天荒なエピソードはもれなく面白い。ここには載せられない話も多々あるので、「発達」まで足を運び、ゆっくりと話を聞いてみてほしい。なんていう、締め方はこのサウナには相応しくない。全サウナーよ、「発達」を味わいに南相馬へ行け。「ととのう」のさらに先にある快楽を感じろ。