東北サウナ旅は終わらない。
前後編を通じて5施設を巡ったサ旅強行軍の記録はこれにておしまい。ただ、今回は取材できなかったものの、リサーチを進めていくなかで強く心を惹かれた施設がいくつかある。ここでは番外編として、いつかのサ旅で訪れたい2つのサウナを紹介していく。是非とも目的地のひとつに盛り込んでいただきたい。
松島一の坊
宮城県宮城郡松島町高城浜1-4
www.ichinobo.com/matsushima
¥31,900円～（大人2名1室 / 入湯税別途150円）
サウナで失ったミネラルを岩塩岩盤浴で補給するのがここ粋な入浴法。
「松島一の坊」は、日本三景のひとつである松島と心ひとつにする宿。7000坪の日本庭園とその先に続くオーシャンビューを、全室から見渡せるようになっている。
そんな絶景リゾートのサウナは、真ん中のストーブを囲むように席が設置された、コロシアム型のサウナだ。最高峰のサウナヒーター「ikiストーブ」を導入しており、湿度・温度の自由自在なコントロールに加え、壁寄せに縛られない自由なレイアウトが実現されている。
このつくりをみた時、キャンプで友人らと囲んだ焚き火を思い出した。ジリジリとサウナストーンが焼ける可動音は、パチパチと薪の焼ける音と同じようにサウナーたちの心を癒しているのだろう。ぼうっと、何も考えず、無心のひと時を過ごしてみたい。
十和田サウナ
青森県十和田市奥瀬十和田湖畔宇樽部 宇樽部キャンプ場内
towadasauna.com
料金：¥22,000〜（12月末～3月は¥44,000）
12月になると積雪が幻想的な景色をつくりだす。
東北のサウナについて調べ始めた今年の9月。実は、一番最初に取材候補地として挙げていたのが「十和田サウナ」だ。
個人的なフックになったのは、ロシア製のバレルサウナ。バレルサウナとは樽型のサウナを指し、丸い形状をしている分、サウナ室全体の温度や湿度を均等に保つことができる。ロウリュで発生した蒸気も効率的に循環するため、曲線に沿って降りてくる蒸気を背中にも浴びせられるというのが魅力だ。寒さを手懐け、快適にととのうための知恵が詰まったサウナと言えるだろう。
水風呂は目の前に広がる十和田湖。夏は20℃前後、冬になると湖自体はほとんど凍らないものの、氷点下にも迫るキンキンの水温が楽しめるという。ここまでの冷たさは、日本全国を探し回ってもなかなか見つけられるものではない。
湖で締めたあとは、木の温もり溢れる椅子に深く腰掛け、目を閉じる。そこから聞こえる鳥のさえずりや、そよぐ風、波のせせらぎはどんな音を奏でるのだろうか。その答えは、日本の“北奥”で自然と繋がった旅人のみぞ知る。
