PROFILE
「ÉDIFICE」や「L’ECHOPPE」でのバイヤーを経て、現在は自身が手がける「FOUNDOUR」のディレクションや、外苑前にある「BOUTIQUE」のオーナーとして活躍。加えてファッションディレクターとして多方面で手腕を発揮し、2025年より〈Felisi〉の日本コンセプターも務める。
イタリアは美しさといったフィルターがかかっている。
25年ぶりの訪伊を経て、〈フェリージ〉のバッグを中心に“イタリアもの”のアイテムが日常に増えてきたという金子さん。さまざまな国のアイテムに触れるなかで、実際に手に取って分かる“Made in Italy”の魅力とは、どんなものなのでしょうか。
ー金子さんは、これまでにどういった“Made in Italy”のアイテムに触れてきたんですか?
金子:いちばん最初に手に取ったのは、ぼくが「エディフィス」に勤めていた頃ですね。当時はちょうどクラシコイタリアブームで、それまで触れたことのない上質な手縫いのシャツであったり、ノルベジェーゼ製法のコバがやたらと張ったシューズも持っていました。どのアイテムもイタリアのフィルターを通すことによって、なにか特別なオーラをまとったような感覚があって。
ー金子さんといえば、やっぱりアメリカからの影響が強い印象があるんですが、それとは全然違いますか。
金子:アメリカもイタリアもものづくりの土壌がある国ですが、たとえば同じシャツをつくるにしても、イタリアのほうが絶対に上品に仕上がる。アメリカはどちらかというと、もっと合理性を追求したものづくりをしているのに対して、イタリアは美しさとか、そういったフィルターがどのアイテムにもかかっているような気がします。
ーどこか色気があるというか。
金子:そうですね。イタリア製の生地も、やっぱり仕上がりが綺麗なんですよ。一方でアメリカ製はガンガン洗濯することを前提につくっていて、それが愛嬌につながったりもするんですけど。
ー最近手に入れた“Made in Italy”のアイテムって、なにかありますか?
金子:6月のイタリア出張で着ていた白いジャケットです。これも100%手縫いで、クラフツマンシップの塊みたいな感じ。出張に合わせていろんなジャケットを試着したんですが、結局いちばんよかったのが、この一着だったんです。
ーどんなところがよかったんですか?
金子:とことんふんわりしているんですよね。袖を通して鏡を見ると、自分の体型が知らぬ間に良くなっている感覚があって。撫で肩を目立たせず、肩のラインに自然な張りを出してくれるというか。肩の傾斜に吸いつくように沿って、上半身の輪郭を整えてくれるんです。それがすごくナチュラルだから、無理している感じも全然なくて。
ーイヤなところを隠すというよりは、“良く見せる”という感じ。
金子:まさに場所にそんな感じです。イギリスのジャケットはパッドが入って、着用者の体型とは関係なくシルエットを形作るような感覚がある。対してイタリアのジャケットは、体型を活かすような仕立てになっているんです。
ミラノへ行った際にこのジャケットの店へ足を運ぶと、ちょうどデザイナーがいて、めちゃくちゃムキムキだったんですよ。身体そのものを“魅せる”ことへの意識が強い人なんだろうなと。それがジャケットにも反映されているんだなと、妙に納得したんです。
一方で〈フェリージ〉のバッグにも、それと通じるものを感じるというか。
ーどんなところにですか?
金子:すごく機能的で、伝統をきちんと重んじたものづくりをしているんだけど、ひとが持ったときにかっこよく、美しく魅せることも同時に考えてつくられているのが分かるんです。そういう姿勢にすごく惹かれるんですよね。