自分たちがつくってきたものを信頼している。
金子さんは過去3回のイタリア出張で〈フェリージ〉の本拠地である、古都・フェラーラを訪れてきました。このブランドのものづくりにも、「イタリアの文化が息づいている」と話します。本社を訪ねて、どんなことを感じたのでしょうか。
ーフェラーラといえば、ルネサンス期の美しい街並みが残る古都として有名ですが、ものづくりの街でもあるんですか?
金子:〈フェリージ〉以外にもいくつかのブランドが工房を構えているようです。きっと職人さんが多くいらっしゃるんでしょうね。
ーやっぱり街並みは綺麗でした?
金子:中世の街並みがそのまま残っているから、本当にタイムスリップした気分になります。鴨志田さんがディレクションする「フェラレージ」のシリーズが、この街の景色からインスパイアされて生まれたのも納得です。
ー「フェラレージ」のバッグを持って歩く金子さんも、すごく街になじんでますよね。
Ferraresi 25/40/LD+A ¥143,000
金子:本当にこの街が似合いますよね。それを日本の街並みで持つのが、またかっこいい。
ー使い勝手も良さそうですね。
金子:14インチのパソコンが入るし、ハンドルの長さを調整できるところも気に入ってます。肩掛けでも、斜め掛けにもなるんですよ。
ーストラップをアジャストする部分も機能的なシステムだけど、ちゃんと“魅せるデザイン”として成立させてますよね。
金子:そうなんです。機能的なのに洒落ている。ここに〈フェリージ〉の魅力があるなと。革の質もすごくよくて、柔らかいけど肉感もしっかりとしていて、傷も目立ちにくい。すごく評判がいいんです。
ー〈フェリージ〉の本社はどんな感じだったんですか?
金子:内装もクリーンなオフィスでみなさん仕事をされていました。裏には工房もあって、2階にはショールームやアーカイブルームがあるんです。
ーアーカイブルーム、圧巻ですね。
金子:ここに集められているのはアーカイブの中でも選ばれしものたちで、長居をしていると社長から注意されるんですよ、「あまりジロジロ見るな」って(笑)。それくらいアーカイブを大切にしているってことだと思うんですけど。
ー先ほど〈フェリージ〉のものづくりに対しても「伝統をきちんと重んじる」と話されていましたよね。
金子:新しいバッグをつくるにしても、アーカイブをベースにしながら、それをどう現代に取り入れるかということを考えていると思うんです。そうやって歴史を大切にしながらつくっているところがいいなと。なんというか、自分たちが過去につくってきたものを信頼しているから、それを活かして新しいものをつくっている感じがして。
金子:素材に関しても、ずっと同じものを使い続けるんですよ。新しい素材を使うにしても、すごく慎重で、きちんと選定して、試験して、納得したものでないと製品化しないんです。
ーひとつ一つのデザインやディテールにプライドがあると。
金子:そうですね。一方で工房もすごくきれいに整えられていて。たくさんの革が置いてあるんですけど、それもきちんと保管して、丁寧に扱っているのがわかるんです。そういうところからも、このブランドの仕事ぶりが伝わってきましたね。
ーモノ以外から伝わってくる信頼感というか。
金子:社長がアンナリサ・フェローニさんという、女性の方なんですが、いい意味で厳しい方で、いろんなことを徹底しているんですよ。スタッフを大切にすることは当たり前ですけど、自分たちの仕事に誇りを持っていて。
ーイタリアって家族経営の企業が多いって聞きますよね。だからファミリーを大事にするし、きっと社員の方々との信頼関係も厚いんでしょうね。
金子:姪御さんも社内で仕事をしていて、そんな感じがしましたね。職人を守らないといけないし、だから日本でもしっかりと数を売ってくれ、バッグをもっとつくらせてくれって、日本の〈フェリージ〉チームに対してもしっかりと意見を言ってくるそうなんです。
金子:一方では社内にもきちんと目を配っていて、デザインの話にもガンガン加わっている。B品が出たときも、その原因を追求して、担当任せにしないんです。
ーきちんと現場も見ているんですね。
金子:そう、めちゃくちゃ現場主義なんです。だからものづくりも絶対にブレないし、鈍らない。こちらからの要望も、すこしでも隙があると突っぱねるし、細かいところもきっちり計算してビジネスとして成立させる意思を感じるんです。
ーすごく質実剛健なスタイルですね。
金子:本当にそうなんです。着実に一歩一歩足を踏みしめながら進んでいて、つくるものはどれもいい道具であり、かっこいいものをつくっていくというスタンス。そういう姿勢も伝えていかなきゃなと思いましたね。