ギリギリまで考えるほうが健全。

B1F ブルックリンブルワリー「B」

1F 「KABI」の新しいレストラン
「ケイヴマン」メインダイニング

1F 「ケイヴマン」ワインバー

1F 「スイッチコーヒー」
ー 施設の中身についてもお聞きしたいのですが、キュレーションを務められた松井さんは、どんなことを意識したんですか?
松井:いまの東京でベストなお店を呼んだらどうなるだろう? って考えたんです。いろんなレストランに通うなかで、やっぱり目黒の「Kabi」は外せないと思ったし、「The OPEN BOOK」の田中開さんと野村空人さんのお酒も飲みたかった。「スイッチコーヒートーキョー」のコーヒーも朝飲みたいなぁ、と。自分なりのベストな布陣を揃えたいというのがありました。
単純に自分が行きたいかどうかなんですよね。仮に「K5」が福岡だったり、はたまたニューヨークにあったとしても、わざわざ足を運びたいかどうか。そういう状況をつくりだせる人たちにお願いしましたね。最初にお願いしたときに断られたお店もありましたけど、何度もお願いしてなんとか入ってもらったお店もあります。

岡:ここに入るお店すべてが、最終的にフィックスしたのが割と最近なんですよ。あるときは寿司屋っていう話もありましたし。
本間:あったね。花屋とかも案としてあったよね。松井さんから提案があって、それに対して意見をつたえることはあっても、基本どのお店もいいんですよ。反対することはなかったけど、最初の案とは全然ちがうラインナップになってますね(笑)。
松井:そうそう(笑)。さっき岡が話してた「クリエイティブがロジックを凌駕する」っていうのは、数字を見たときに「こういう使い方がいいんじゃない?」って話になるじゃないですか。レストランにバーを足したらもっと利益でるんじゃない? とか。でも最終的にみんなで立ち返ったのは、“これがK5にあったら足を運ぶかどうか”なんですよね。金額や数字よりも、みんなの感情が上回るかどうかだったんです。
ー その答えを出すのにギリギリまで時間がかかったと。
松井:最終的なレイアウトの仕方とか、空間の使い方に関してギリギリまで考えていたんです。そうするとオープンが遅れる可能性があるし、ファイナンス的にも大変ではあるんですけど、自分たちのベストを尽くして「絶対に行きたい」って思わせる施設にしようって話してて。
本間:でもぼくらもホステルをつくってますけど、何度やってもそうなるんですよ。よっぽど経験と想像力がないと、2年先のことなんて予測できないですから。みんなが協力や苦労を惜しまなければギリギリまで変えられるはずだし、極論を言えばオープンした後も変えられるはずなんです。むしろ、そした考え方のほうが健全ですよね。説明責任的に難しかったり、お金の計算的にむずかしかったり、最後ちゃんと整うのか? っていう精神的な不安も続くと思うんですけど。それに耐えられるのであれば常に続けるっていうのが正解なんじゃないかと思ってます。ただ、それをやったお陰で多方面に迷惑をかけていますが…(苦笑)。