ゲームをするとき、画面のどこを見ていますか?
ー 具体的にどのように洗練されていったんですか?
梅原:これは10年かけて身についた技術と言ってもいいと思うんですけど、課題を見つけるのが上手になったんです。みんなが課題だと思わないことを、課題だと捉えられる視点が養われたと思います。やっぱりこれも飽きに絡んでくるところでもあるんですけど、例えば格闘ゲームをするとき、画面のどこを見ています?
ー ええと、自分が使うキャラクターを中心に、なんとなく画面全体ですかね……意識したことなかったです。
梅原:だったら、今度は意識して画面の下半分だけを見るとか、逆に上半分だけを見るとか、もしくは相手のキャラクターをずっと目で追いかけるとか。「どこを見るか」を変えるだけでも楽しくプレイできたりしますし、そうやってプレイすることのなにが一番いいかというと、答えが出ないところなんですよ。僕も経験からなんとなく全体を見るようにしてますけど、相手のキャラクターを凝視したほうが細かい動きに反応できるんです。ただ、そうするとゲーム画面にあるほかの情報、例えば体力ゲージとかが見えなくなる。要は状況によるんですけど、なんとなく感覚的にやっていることに対して「本当にそれは正しいのか?」と疑いの目を向ける作業は得意で。あるいは画面の見方だけじゃなくてボタンに添える指の配置を変えてみたりとか、もちろん技術的、戦略的な部分でも、その日の課題というのはいくらでも見つけられますね。

普段はこういったバックパックタイプのものを持っていきますね。
ー 技術的な部分のお話もお聞きしてよいですか?
梅原:例えば、自分が使うキャラクターが画面の端に追い詰められていたとします。今までは攻撃を仕掛けながら脱出する方法を考えてたんですけど、「今日は一切手を出さずに脱出してみよう」とか、ルールを決めて脱出を試みるんですよ。
ー 端っこでずっと相手の攻撃をガードをしつつ、隙を見てジャンプするみたいな?
梅原:そうそう。ただ、そういう選択肢もやっぱり「なんとなく」になってるんですよ。たぶん、自分も含めてほとんどの人が曖昧にしている部分なんですけど、そこを徹底してみる。ジャンプのみでダメだったら、今度は弱パンチだけを使ってみようとか、一通り試すとある種のデータが取れるじゃないですか。それは一見すると無駄なデータかもしれないけれど、無駄になった数だけプレイのストックになるんですよ。「これを試してみたけどダメだった」という結果でも、その「ダメだった」というデータが自分の中にあるというのがすごく大事なことで。
ー 先ほどの「寄り道」の話とも重なりますね。
梅原:まさにそうで、いざ実戦でそういう状況に陥ったとき「ここでこれをやったらダメなんだ。じゃあ、応用して……」みたいな感じで自分の中に残るし、応用するときの部品にもなる。その部品集めをしようという意識があればそうそう飽きも来ないし、そういう感覚でやっていると必ず発見があるので。
ー そういう、当たり前になっていることに疑いの目を向けるという技術というか習性は、どのようにして身に付いたんですか?
梅原:結構、父の影響が大きいですね。ある日父が「いいか、世の中にはもとはちゃんと意味があったことでも、いつからか意味がなくなっていて、それに気付けないまま行動していることが山ほどあるからな」と。その言葉はゲームのプレイにも生きていますね。
アウトドアプロダクツ
カスタマーセンター
電話:06-6948-0152
www.outdoorproducts.jp