ラフに使えるし、人前にも出られる服。
PROFILE
ユナイテッドアローズ、ランドスケーププロダクツを経て2010年に「Swimsuit Department」を設立。輸入代理店をはじめ、世界各国で買い付けたヴィンテージ雑貨などを販売する「BATHHOUSE」も運営のほか、店舗のインテリアコーディネートやディスプレーなども手がける。2015年9月には、日本で初の開催となるモダニズムショーを主宰。フイナムでデザインにまつわるコラム「How to see -モノの見方-」を連載中。
ー 世界中から集めた洋服やバッグ、民芸品などの販売、輸入卸業をなさっていますが、先日、福岡の大宰府に新しいお店をオープンされましたね。どうして福岡なんですか?
郷古:福岡には、僕が扱っているような古い物や文化を理解してくださる方が多いと感じるんです。これまでも東京以外でポップアップの展示をおこなうことがあって、そういうときにすごく興味を持ってくれたのが福岡のひとたちでした。食事もおいしいし。向こうにいい建物を見つけて、去年1年間かけてリノベーションしました。僕の好きな古いもののことをわかってくれているランドスケーププロダクツに設計をお願いしました。
ー 福岡に拠点ができたことは、今後の仕入れにも影響していきそうですか?
郷古:大分県の小鹿田焼きだったり、竹細工だったり、やはり骨董市なんかに行くと、いいものが見つかりますよ。リサイクルショップや古道具屋は、向こうでも頻繁に回っています。
ー 長年にわたって物をつぶさに観察してきた郷古さんでも、まだまだ新しい物は見つかるのですね。
郷古:たとえ同じ物でも、その時々の目線で違って見えたりもするし、興味を持つと意外と近くにたくさん見つかったりする。たぶんそういうのは一生続くんじゃないですかね。日本にもまだまだ海外に知られていないものがたくさんあって、そういうものをより多くのひとに見てもらえるような環境を作るのが、自分の仕事だと思っています。
ー 最近、特に気になっているものなどはありますか?
郷古:ここ1、2年のことでいうと、80年代イタリアの、ポストモダンと言われるようなものにハマっています。派手派手しい色使いやデザインに興味を持って、いろいろと集めてます。僕が物を集めるうえで、発色や質感というところまで含めて、色はかなり大切な要素ですね。
ー なるほど。海外に買い付けに行くときには、どのような服装をすることが多いですか?
郷古:重宝するのは、フリースアイテム。アメリカだと寒暖差がかなり激しいので、簡単に脱ぎ着できるウェアがいいんですよね。軽くて厚みがあるので、脱げば梱包材としても使えます。もっと寒いところに行くときは、ヒートテックのインナーは必ず着るようにしています。海外の買い付けって想像以上に過酷なんです。正直、おしゃれしてる場合じゃなくて、機能重視です。
ー 古物好きなだけに、洋服もやはりミリタリーなどのヴィンテージものを普段から着るのでしょうか? そんな郷古さんから見て、〈ユニクロ ユー〉はどのように映りますか?
郷古:たしかに僕は古い物が好きで、それは洋服でも一緒です。軍物やスポーツウェアの多くのディテールは現代の洋服に生かされていますし、それが面白いんですよね。たぶん、今日着た〈ユニクロ ユー〉のこのリブも、古いスポーツウェアから着想したディテールなんじゃないでしょうか。ヴィンテージは好きですが、コーディネート全てがそうだと、気を遣ってしまうので、古い物と新しいものを混ぜるくらいがちょうどいい。それに、仕事では倉庫作業も結構多いけど、引っ掛けたりが怖くてニットは着られない。でも、クオリティと価格のバランスがとてもいいこのニットであれば、作業着っぽくはないから、倉庫作業しつつも、そのまま人前に出ても恥ずかしくないですね。