TOPIC 04 “何もしない時間” を味わう。フェートンが開いた噂の会員制ティーサロン。
広大な空と田園風景の先に日本海を望むことのできる石川県の特別な場所に、今年で誕生から10周年を迎えたセレクトショップ「フェートン(PHAETON)」があります。代表の坂矢悠詞人さんが描くコンセプトは、店内のしつらえも緊張感のあるものを選び、西洋でも東洋でもない、教科書にはないモノのセレクトすること。10年前から〈オールドジョー〉〈ポータークラシック〉〈ナイジェル ケーボン〉がフルラインナップで並ぶ他、〈トゥーグッド〉〈イザベラ ステファネリ〉、年代モノの家具、雑貨なども揃える圧巻の空間は従来のショップの枠組みも、来店する人と店の関係もアップデートしているといっていいかもしれません。
そして今年7月16日、「フェートン」と隣接する場所にオープンしたのが紅茶を出す会員制の喫茶スペース「ティートン(TEATON)」です。構想の発端になったのは、いまから4、5年前。坂矢さんが紅茶の卸販売を行う「テテリア」の代表・大西進さんに飲ませてもらったネパールの紅茶だといいます。「それからシングル茶園のリーフティーに恋してしまい、1日10杯も飲んでいたコーヒーをやめてしまうほどの紅茶熱愛に。この素晴らしさを伝えるべく、お店をはじめました。つまり『ティートン』のオープンはファッション的なアプローチではないんです」
インド、スリランカ、ネパールの紅茶を中心に、季節で変わる茶葉を丁寧にセレクトしているとのこと。ティータイムに欠かせないスイーツは、すべてグルテンフリー、ラクトースフリー、白砂糖フリーというこだわりよう。キャロットケーキやウィークエンドシトロン、シフォンケーキ、アーモンドミルクプリンなど、以前から付き合いのあるパティシエ・鶴見昂さんにレシピをつくってもらい、店舗スタッフが数ヵ月かけて習得したという至極の一皿が紅茶の横に並びます。
店内奥にある和紙の扉を開けると「炭漆喰、テラゾー、洗い出しでつくった漆黒の茶室に繋がり、天窓の光が差し込む室内でお茶をお出しします。屋上のテラス席で目の前に広がる日本海の水平線を眺めながら、お茶を飲む時間は格別。どちらも “何もない、何もしない” を味わえます」と言うから訪れてみたくなります。目的地に行き、自分の五感で確認すること。その価値は変わらないどころか、ウィズコロナ時代において、羨ましくなるほど貴重で、他には代え難いラグジュアリーな時間になること間違いありません。
ティートン
住所:石川県加賀市伊切町い239
営業:11:00~18:00(17時半ラストオーダー、火曜定休)
www.teaton-co.com