垣根を越えた自由なものづくりがもたらしたもの。

ー 「THE GENTELMAN IN THE PARLOUR」というレーベル名はどのようにして生まれたんですか?
金子:いろいろ名前を考えているときに、パッと降りてきました。紳士が集って、ああだこうだ言いながらものづくりするプロジェクトだったのでちょうどいいなと。それで皆さんに提案したら、「いいじゃん」ってなって。
宮原:バッチリな名前ですよね。
金子:ネーミングってすごく難しいんですけど、降りてくるんですよ。だから、考えたら負けだといつも思ってます(笑)。
ー このネームデザインもいいですね。

金子:この色とフォントは、あそこに飾ってある型紙がベースになっています。すごく古いものなんですけど、参考にさせてもらいました。結局ネームができるのが、いちばん最後になってしまいましたが…(苦笑)。
小木:よく間に合いましたよね(笑)。

金子:これは偶然なんですけど、“パーラー”という言葉はイギリスでよく使われているそうなんです。今回のアイテムはイギリスがベースになっているので、その部分もリンクしたというか。
宮原:アメリカだと“Parlor”という綴りになって、“U”が抜けるんですよね。
金子:ちょっと英国紳士を気取ってみました(笑)。でも、今回本当にいいものができたと思います。消耗品ではなく、ずっと着られるものができてよかった。最終的にはこうしたプロジェクトを通じて、こういうものを当たり前のように着て、当たり前のようにかっこよくなる世の中にしたいという思いがあります。
小木:そうですね。そういえばこの前、八代亜紀さんのマネージャーをされている方に会ったんですよ。
金子:またすごい人が出てきましたね(笑)。
小木:その方が今どき珍しいラペルの広い素敵なスーツを着ていて、それが気になって「どちらで手に入れたんですか?」と聞いたら、「八代さんにいただきました」と仰っていて。このアイテムもそうして人から人へと、受け継がれていくといいなと思います。世界のどこへ行っても通用するし、どこへ行っても「いいね」って言われるようなアイテムができたわけですし。
金子:小木さんがそう言ってくれたら、若い子たちも安心して袖を通せますね(笑)。
宮原:ちゃんと打ち合わせをしてつくっているし、それが映像にも残っているから、ちょっと盛り上がってつくっただけでしょとは思わないはずですよ。
金子:動画だと編集されてますけど、宮原さんは合計で8時間くらい喋ってましたからね(笑)。止まらないんですよ。
宮原:やっぱり話をするのが楽しくて、そういうものづくりは本当に楽しいんです。本当に。
金子:もともとそんなに強固な結びつきがあったメンバーでもないのに、こうして集まれて一緒にものづくりができたのは刺激になりましたし、勉強になりました。うちの生産チームも基本は社内のやり取りしかないので、宮原さんや小木さんと一緒に仕事をするなんて思ってもいなかったはずです。視野も広がったと思います。
宮原:「ベイクルーズ」の生産チームは本当にスペシャリストでしたね。クオリティが高いと思いました。小売りじゃなくてアパレルですよね。そこって絶対的な差があるんですけど、「ベイクルーズ」はちゃんと企画室があって、パターンも引けて、きちんとした生産背景も持っている。だからいいものができるんだなと思いました。
ー いろんな垣根を超えて、こうしてみなさんが集まってものづくりをされているというのは、すごく自由でいいですね。
金子:今回のコンセプトを考えたときに、どういう人とやったらいいかとか、誰が適任なのかを考えて、仮にそこに垣根があったとしても、やっぱりそれを超えたいと思ったんですよね。
宮原:金子くんは、そういう部分がすごいですよね、やっぱり。
小木:はい、すごいです。
金子:いやいや、そんなことないです。周りの方々がいたからこそ、今回成立したわけなので。みなさんのおかげです。とにかくいいものができたから、本当にいろんな方々に着てほしいですね。
