SIDE-A
1986年生まれ。「FAN」の起ちあげメンバーのひとりで、現在はパルコ店のディレクターを務める。ジャンルを横断するアイテムセレクトを行い、アパレルだけではなく雑貨なども扱うことで、既存の枠に縛られないお店づくりをしている。目下、ギャラリー兼ホットドッグ屋をオープンさせるべく画策中。
ALMOSTBLACK × MIDORIKAWARYO SHOES ¥68,000+TAX
SIDE-B SSWで喫煙仲間とチルする。

ー 伊藤さんが服を好きになったきっかけはなんですか?
伊藤:小学校のとき、純粋にかっこいいからという理由でゴリラが好きでした。〈A BATHING APE®〉のプロダクトをみたときに、めっちゃゴリラのかっこいいTシャツあるなと思って、そこから服が好きになり、さらに調べていくうちに映画が元ネタにあったりして、そこからいろんなカルチャーにも興味を持つようになりました。
遍歴的には、もともとエイプ入りということもあり裏原が好きで、そこからドメスティックブランドのブームがあり、ヒッピーな格好をした時期もあったりして、いままたカジュアルなストリートに落ち着きました。
ー 幼い頃から触れてきたカルチャーがミックスされて、いまの伊藤さんを形成しているのですね。

ー 「FAN」の起ちあげからパルコ店にくるまでの経緯を教えてください。
伊藤:もともと前職でセレクトショップのディレクターをやっていたんですけど、そのお店がなくなってしまい、その後友人とふたりでセレクトショップの起ちあげを計画して、2017年にできたのが「FAN」原宿店。でも一昨年の台風で水没してしまい、いまはパルコ店だけでやってます。
いっしょに起ちあげた友人がディレクター、自分は数字みてお店を動かしていく運営だったんですけど、途中でいろいろとありまして。友人がスタイリストもやっているんですが、アイドルグループのお仕事が入って殺人的に忙しくなってきて、お店を見るのが難しくなってしまい、いまは自分がディレクターとして入っています。モード好きだった友人の好みを生かしつつも、いまはぼくが好きなストリート色強めのお店でやっています。
ー ジャンルレスなブランド選定だなという印象を受けました。
伊藤:同年代やすこし上のブランドを選んでいて、でも雑食なので、そこにモード感やハイテクも入れたり。なんて言うんだろう、イメージはドン・キホーテとかの「ごちゃっとしててやばい」みたいな、そんな雰囲気を作りたくてこういうセレクトをしています。
ファッションの流れって、大きな幹が古着だとすると、どんどんそこからカルチャーが枝分かれしていって、ハイテクが生まれたりストリートが生まれたり。細分化していくと思うんですけど、その感じをひとつの店舗で見せられたらいいなと思っていました。レコードショップはそれが表現されているところがけっこうあるんですが、服屋でそういうお店ってないなと思っていたので。
ー たしかに、お店のいたるところにその「ごちゃっと感」がありますね。


「SSW」では定期的にアイテムががらりと入れ替わる。いつ来ても目新しい店づくりは「FAN」も同じ。
ー パルコ店のスタッフさんはどういうひとが多いんですか?
伊藤:みんな趣味も趣向もばらばら。いろいろ好きですね。年齢は20代前半の子が数人と、自分含め30代がふたり。同い年のそのひとは、ホットドッグ屋をやるために呼びましたね。
ー …ホットドッグ屋というのは?
伊藤:そのひとは「SON OF THE CHEESE」でもともと店長をしていて知り合いだったんですが、うちに入りたいと言っていて。自分がアートとホットドッグが好きで、それを合わせたようなお店を開きたかったので、それの協力を仰ぐためにはちょうどいいなと思って入ってもらいました。
ー なるほど、どんなアートを扱うお店になりそうですか?
伊藤:ギャラリー兼ホットドッグ屋にしようと思っていて、そこには僕が好きなヨーロッパグラフィティを並べようかなと。アメリカのグラフィティは扱うギャラリーさんが多いんですが、ヨーロッパは大きく扱われることが少ないので、それに特化していきたいですね。ほかと比べて、絵描きとグラフィティの境目があいまいで、すごく抽象画っぽい。ヨーロッパの方々ってグラフィティに対して寛容で、絵のような感覚で見る文化がいいなと思っていたので、それを日本でもやりたいです。来年いっぱいにはオープンしたいですね。

ー 休みの日は何をしていますか?
伊藤:友人と銭湯やサウナに行ったりしてます。情緒あふれる昔ながら系が好きなんですが、最近おもしろいところに行きました。池袋にある「かるまる」っていうところで、遊園地並みにアトラクションが充実しているんです。何よりそこの水風呂が衝撃的で、サンダートルネードみたいな?…ぐるぐる回ってるんですよ(笑)。流れるプールの小さい版みたいな感じで、熱が一瞬で引きました。
ー むしろ疲れちゃいそうですが、おもしろそうですね!
伊藤:同じ系統だと、名古屋の栄にある「ウェルビー」もやばいです。サウナ目的で行ったんですけど、水風呂が0℃に近くて全身痛くなりました。ほか、最近気になっているのは熊本の「湯らっくす」。「MAD MAXボタン」っていうのがあって、それを押すと上から水がばさっと降ってくるっていう…。どうにか熊本に出張を結びつけたいですね(笑)。
ー 地方にまで触手を伸ばしているんですね! 熊本案件、ぜひ見つけたいですね。

一日数回、たばこを誘いにSSWに顔を出すという伊藤さん。仕事の話や商品について、あれこれ話すのだそう。
ー 最後に、2021年の抱負を聞かせてください。
伊藤:コロナを経て、いろんなサービスが精査されて、いいサービスはちゃんと残っていますよね。それを踏まえて「FAN」や今後自分がやっていきたいことも選ばれるようにしたいです。しかるべきことを、しかるべきひとと、手を抜かずやっていく。あたりまえのことをやっていきたいですね。

FAN
場所:渋谷PARCO 3F
電話:03-6452-5803
SSW(GEYSERPARCO)
場所:渋谷PARCO
電話:03-6712-7193